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【内田雅也の追球】岡田監督、異例の終幕…昨年日本一に導いた功労者が退任会見なし、はあまりに寂しい

スポニチアネックス / 2024年10月14日 8時2分

選手交代のためベンチを出る岡田監督 (撮影・須田 麻祐子)

 ◇セCSファーストシリーズ第2戦 阪神3-10DeNA(2024年10月13日 甲子園)

 敗戦後、応援団はコンバットマーチを奏で「オカダ、オカダ、オカダッ!」とコールが響いていた。それでも阪神監督・岡田彰布はベンチから出てこなかった。

 終戦、つまり、退任が決まっている岡田の最後を意味する。岡田や選手たちがグラウンドに整列しての一礼を待っていたスタンドは不満のざわめきに包まれた。

 球団から事情説明があった。球団社長・粟井一夫は「岡田監督の体調がすぐれず、ファンの皆さまへのごあいさつがかなわない状態でした」と話した。「重病ではない」と言うが、単なる風邪なのかと心配になる。

 恒例のシーズン終了のオーナー報告会も見送ると発表があった。ファンに思いを語るべき会見も予定されていない。

 オーナー・杉山健博は試合後、岡田と2人きりで会い、慰労と感謝を伝えた。就任要請時から高齢と激務を理由に「任期は2年」と定めていたと説明した。フロント入りも内定しているという。

 ただ、昨年日本一に導いた功労者で円満退任の監督が会見もなく去っていく。あまりに寂しい終幕ではないか。

 前例に途中休養の中村勝広、途中解任の藤田平らがあるが、シーズンを全うした監督では異例だ。事実上解任の金本知憲も「立ち話」で会見していた。本当に円満なのかと勘ぐりたくもなる。

 岡田の体調が悪いのは承知している。8日練習中「眠れない。昨日今日と一睡もしていない」と聞いた。息切れが激しかった。医師に睡眠薬をもらい初めて服用した。食事も取れず点滴も打った。9、10日と休んだ。

 「なんでか分からん。(監督を)辞めると決まってからよ」。9月29日に杉山、粟井と会い、退任を確認していた。やはりユニホームを脱ぐのは寂しく、つらかったのか。

 試合は「ひどいな……最後の最後に」と笑うしかない惨敗だった。「野放しにしたら大変なことになる」と最後まで小言を並べた。ただ、9回裏に代打で本塁打した原口文仁を迎える時「ありがとう」と口が動いていた。昨年開幕カードでも代打弾を放っていた。打撃不振の中野拓夢の安打には笑顔も浮かんだ。

 岡田は「監督はタイガースの歴史の一コマ」だと言う。この幕引きは寂しく悲しく、異例の形として刻まれる。

 やせたようだ。監督室に消えゆく「80」が小さく見えた。 =敬称略= (編集委員)

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