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那須川天心が3―0の判定勝ちで新王者 ボクシングで初ベルト獲得 「来年は世界」国内での世界挑戦権獲得

スポニチアネックス / 2024年10月14日 20時2分

<那須川天心vsジェルウィン・アシロ>那須川が判定勝ち(撮影・篠原岳夫)

 ◇WBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦 同級1位 那須川天心(帝拳)<10回戦>同級2位 ジェルウィン・アシロ(フィリピン(2024年10月14日 東京・有明アリーナ)

 “神童”那須川天心(26=帝拳)が3ー0の判定でプロボクシングデビューから5連勝を飾り、キックボクシングから転向後初のタイトルを獲得した。国内での世界挑戦資格を得られる地域タイトルを手にし、来年の世界挑戦がいよいよ現実的となってきた。判定は97―92、98ー91、98―91だった。

 “神童”が世界挑戦への第一歩を踏み出した。初回は右のジャブを出す那須川に対し、アシロがカウンターを狙う展開。那須川はこの回の終盤に左ストレートをカウンターで当てた。互いに距離感をつかんでいく中、アシロもカウンターだけでなく、前に出る場面もあるなど、緊迫感あふれる試合となった。

 相手のカウンターにも苦しんだが、那須川は9回に右のジャブから左のボディーでダウンを奪った。最終10回に左のまぶたをカットしたが、最後までパンチを出し続けた。

 7月の前戦では世界4位のジョナサン・ゴンサレス(米国)相手に何もさせずに3回TKOの完勝。それでも「前回からさらに進化している。突拍子もない動きだったり、ボクシングでは普段はない動きだったり。宇宙系ボクシングでユニバーススタイルでやりたい」と現状に満足せず、強さを追求。パンチのバリエーション、間合いの詰め方やフェイント、ステップ。全てにおいて成長を示し、ボクサー天心の完成形に近づけた。

 ただ、タイトル初挑戦の不安もあった。調整期間のスパーリング中にはジムの大先輩で元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏に助言を求めた。また幼なじみで、国内最速タイトル保持者のアマ13冠の堤駿斗(24=志成)にもタイトル戦を戦う教えを請い、10回戦を戦うペース配分も学んでいた。

 見据えているのは当然、世界の頂。今後については「来年、どこかで。誰というのはないが、全員狙っている」と日本人王者が占めるバンタム級主要4団体への挑戦を宣言してきた。その標的にはもちろん同じキックボクシング出身でWBO王者の武居由樹(28=大橋)もいる。「天心選手とやりたい」と武居本人からラブコールを受けている那須川は「そうゆう時期が近づいてきているのかなと思う」とした上で「まだ5戦目。トランキーロ(焦らないで)で。まだまだ強くなるので。もうちょっと待ってください、という思い」と慎重な姿勢を見せる。

 「じっくり育てる」方針の帝拳ジム・本田明彦会長は、来年末をメドに世界挑戦させる意向。一戦ごとに成長を示し続ける神童は自ら「もうチャンピオンが無視できなくなっている」と話す。世界のベルトは確実に近づいている。

 ▼那須川天心 無事にアジアのベルトを巻くことができました。本当にありがとうございます。フィリピンから来て戦ってくれたアシロ選手に拍手をお願いします。腰にベルト巻かれたんですけど、それより俺の大事な顔を傷つけやがって…本当…。顔で売っているのに…大丈夫ですか?今まで格闘技50戦して初めて傷ついたんですけど、でもこうやって血も出た中、もみくちゃな試合に勝つことができてうれしいです。KOしたかったですけど、相手もすごい対策してきて、ボクシングを10ラウンドを通してできるというのは、みなさんに証明できたんですけど、もっと圧倒的に強くなって戻ってきたいなと思います。(今後に向けて)こうやってアジアのベルトを獲って、バンタム級のチャンピオン4人、日本人なんですけど、きょうの試合内容ではすぐにどうだというのはどうかなと思うんで、来年中に必ず世界タイトルマッチ、どうですかみなさん、見たくないですか?来年は那須川天心対世界をやりたいと思います。(リングサイドで見守った武居へ)勝ちましたよ、武居君、勝ちました。

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