ア・リーグ優勝決定シリーズは投手起用の哲学で両極端の対決 先発重視のヤ軍とブルペン勝負のガ軍
スポニチアネックス / 2024年10月15日 8時17分
ア・リーグ優勝決定シリーズは投手起用の「哲学」で両極端のチーム同士の対決になった。ネットサイト「ザ・スコア」のトラビス・ソーチック記者が報じている。
ガーディアンズの先発投手は、地区シリーズの44イニングのうち、わずか15回1/3しか投げていない。チームのイニングの64%をブルペンが担当した。一方、ヤンキースは地区シリーズでより伝統的なアプローチで先発投手は36イニングのうち20回1/3(56.4%)を投げた。
近年、MLBのポストシーズンはブルペン中心に進化しているが、ガーディアンズは極端だ。第5戦では、先発投手は2イニングを投げただけ。スティーブン・ボート監督は7人のリリーフ投手を起用し、ア・リーグサイヤング賞候補のタイガースのタリク・スクバルを打ち破り、7対3で勝った。計画通りの勝利だった。
タイガースのAJ・ヒンチ監督もブルペンデーが得意な指揮官だが、「ケード・スミス、ハンター・ガディス、エマニュエル・クラセのような投手があの量で、あのレベルを保ちながら(シリーズを)投げるのは、ほとんど見たことがない」と驚いている。
スミスは地区シリーズ5試合全てに投げ、ア・リーグ地区シリーズの奪三振記録を更新。クローザーのクラセも4試合に登板し、第5戦は2イニングを担当した。ガーディアンズは22年に地区シリーズでヤンキースと対戦した際、テリー・フランコナ前監督が伝統的なアプローチで、先発投手が長いイニングを投げることを期待した。しかし序盤で打たれ、優秀なブルペン投手が登場したのは試合が手遅れになった後だった。そこで今回、ボート監督はスコアが拮抗している段階で、最高のブルペンを投入することに固執している。
ガーディアンズのアプローチは、ある意味で必要に迫られたもの。今シーズン、コンスタントに好成績をあげた先発投手は12勝8敗、防御率3・47のタナー・バイビーだけ。シェーン・ビーバーが4月に肘を痛め、トリスタン・マッケンジーも昨シーズンの肘の故障から復帰できなかったため、先発投手の育成で知られるチームで頭数が足らなくなった。
一方のヤンキースは資金力を武器に、フリーエージェントの大物先発投手ゲリット・コールとカルロス・ロドンを獲得。加えて17年のドラフト1巡目指名クラーク・シュミットも活躍している。ヤンキースのアーロン・ブーン監督は、コールが地区シリーズ第4戦でロイヤルズ相手に7回を投げきったように、先発投手が長いイニングを投げることを期待している。ガーディアンズとヤンキースは全く異なるチーム。どちらの投手起用哲学が勝ることになるのだろう。
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