DuelJewel・Shun激白!歴史刻んだ「逆ダイの布団」の舞台裏【ソロインタビュー連載第4回】
スポニチアネックス / 2024年10月20日 11時2分
5人組ヴィジュアル系ロックバンド「DuelJewel」(デュエルジュエル)が9月にニューアルバム「Aria」をリリースし、新作を引っさげて全国ツアーの真っ最中だ。1997年に結成され、ヴィジュアル系の隆盛とともにシーンを駆け抜けてきたが、2016年にボーカル隼人の発声障害が影響し解散。その後、隼人の喉が奇跡的に回復したことで、19年に再結成を果たした。新章の幕開けから5年を経た現在のバンドはどのような進化を遂げたのか。各地のファンを魅了するメンバー全員へのソロインタビューを敢行した。4回目はギターのShunです。
――新アルバム「Aria」を引っさげて全国ツアーの真っ最中ですが、現時点での手応えはいかがでしょうか。
Shun「まだ序盤なんですけど、お客さんの反応がすごく良いです。動きとか乗り方がしっかり育ってきた感じがします。今回のアルバムは結構聞かせる曲が多いので、その没入感が会場の皆さんに伝わっている感が分かります。うちのファンって、結構暴れたがりなんです。そういう聞かせる曲で没入感に浸りまくったあとに、暴れまくる系の曲をやった時の爆発力が今までのツアー以上に感じられます」
――このツアーでは新しく挑戦していることや、これまでのライブから変化したことはありますか。
Shun「今回のアルバムはギターが特殊な音作りをしているところがすごく多いんです。デジタル機材を多く使っているんですけど、音色のプリセットの数がかなり増えちゃったんですよ。『あれ、この曲何番だっけ?』ってワタワタしながら、頭をフル回転させてライブやってます(笑)。昔は4つくらいの音でなんとかやりくりしていたんですけど、今回は30個くらい使っているので、結構大変です」
――なんと7.5倍!
Shun「ツアーやるたびにどんどん増えていくんです。今回のツアーは特に多いと感じています」
――その分、音を増やしたということは、よりお客さんに刺激を届けたいという思いが強くなったということでしょうか?
Shun「音を届けたいというより、曲が呼んでいる音なんです。特にNatsukiが作曲した歌は、ギターが多様なアプローチをしているので、それを表現するためには曲に合わせた音を作らないといけないと思って増えていきました」
――アルバムには全て新曲が収録され、メンバー全員が作曲を手掛けています。この点についてはどのような思いが込められていますか?
Shun「歴史を紐解けば最初は僕しか曲を書いていなくて、作詞もほとんど僕だったんですが、みんな成長してくれました(笑)今はメンバー全員が作曲のクレジットを持っていますし。今回、僕も作詞を1曲やっていて、役割分担ができるようになったなと感じています。バンドの底力が上がった印象です」
――アルバムの制作を振り返っていかがでしたか?
Shun「本当にアルバムができるのかなって正直思っていたんです。この1年で3枚目なので。でも選曲会をやってみたら曲はそろうし、メンバー全員が創作意欲のある状態だと感じました。これはバンドにとってすごく良いことですね。これからもアグレッシブに曲を書いていきたいです。特に最近、隼人が曲を書いてくれるようになったことが個人的に大きくて。最初は何のこっちゃわからない曲ばっかり持ってきたんですが、最近はとてもまとまった曲を持ってきてくれます。今回のアルバムでも一番フックになっている曲が隼人の作った曲なんです。本当にバンドに良い風をもたらしてくれています」
――ツアーでアルバムの曲を演奏して、お客さんの反応を見たからこそ新たな気付きを得た曲はありますか?
Shun「今、まさにそう思ったのが隼人の作った『Ding-Dong』です。彼が作曲して、作詞は僕です。この曲はちょっと面白い感じの歌詞があって、それに合わせた振り付けを隼人が知り合いに考えてもらってきてくれました。ライブ中にお客さんと隼人が一緒に振りをやる光景を見ると、本当に幸せな気持ちになるんです。僕は難易度の高いフレーズを淡々と同じように弾く感じなので、客席を見る余裕がたまにしかないんですけど、みんなが楽しそうにしているのを見ていると幸せですね」
――隼人さんが発声障害を克服して、バンド活動と並行しながらボイストレーナーとして同じような悩みや苦しみを抱えている方々を支援している姿をどう感じていますか?
Shun「正直に言うと、隼人が誰を治しているとか、誰の面倒を見ているかにはあまり興味がありません。ただ、人に教えることで自分も常にのどや発声の研究を続ける環境を作り、解散前よりも声や声量、キーの広さがどんどんパワーアップしているのを見て、単純にすごいなと思います。これは誰にでもできることではありません。実際、隼人に助けてもらった有名なアーティストも現場に見に来てくれています。挨拶を交わすこともありますが、みんな幸せそうで、歌える喜びを取り戻した方々の感謝の気持ちが伝わってきます。そうした光景を見ると、同じメンバーとして誇らしいです」
――2016年の解散前と2019年の再結成以降でShunさんが感じるバンドの変化はありますか?
Shun「機材の量が減ったのは大きな変化です。解散前は本当に大きなアンプやフロアボードを持ち歩いて、全国のライブで使っていき搬入・搬出をその都度やっていましたが、解散してほとんどその機材を処分しました。復活後は、すごくコンパクトなデジタル機材でやっています。年も年なので、重たい機材を持ち運べないというのが大きな理由です(笑)」
――機材がコンパクトになったというのは分かりやすい変化ですね。
Shun「質問にズバリ答えるとすれば、僕はそこに尽きると思います。昔みたいに大きな機材を持ち歩きたい気持ちもあるんですけど、物理的に機材車に乗らないとか運べないという問題もありますし、時代の変化に対応しなければいけないのは間違いないです。昔からやっているバンドなので、プライドを持って最新機材で良い音を出す努力はしているつもりです」
――ツアーが始まってから3週間が経過しました。これまでで印象深かったエピソードや思い出はありますか?
Shun「福岡公演の2日目が特に印象に残っています。その日の昼間のインストアイベントでお客さんから『ファンになったら何をしたいですか?』という質問があり、『逆ダイの布団』をやってみたいと言ったんです。これはステージと客席の間にある柵を使って、一部の観客が布団を干すように体を折り曲げる役回りです。この“布団”に向かって観客が拳を上げて駆け寄るのが『逆ダイ』で、ヴィジュアル系の古くからある文化です」
――それを言ってしまったんですね?
Shun「はい、軽率に言ってしまいました。そうしたら、その夜のライブで逆ダイをする曲を演奏中に、Natsukiが僕のギターを取り上げて『最前列に行ってこい!客席に降りて布団をやってこい』って言ったんです。嫌がってしばらく行かなかったんですが、行かなきゃ収拾がつかなくなって。実際に行ってみたら客席が盛り上がってくれました。でも、やったことがないのでどうしていいかわからず、なんとなく布団をやってみたら、勢いよく飛んでこられて(笑)アバラが折れそうになって、すぐにギブアップしてステージに戻りました。それが一番思い出深いですね」
――それはバンドの歴史的な瞬間になったわけですね。
Shun「そのうわさはすぐにネットで広まりました。『Shunさんが布団をやったってどういうことですか?』というメッセージをたくさんもらいましたが、どう説明すればいいかわからず…。ここで言えてよかったです」
――目撃者にとっては幸せな光景だったでしょうね。
Shun「僕としては相当な経験でした。二度とやりたくないですね(笑)」
――バンドの新しい歴史が早くも生まれているツアーです。12月まで続きますので、これからの意気込みを最後にお願いします。
Shun「いいアルバムが出来たと思っています。新曲たちを生で聴くと、音源とのギャップを感じていただけると思います。まだツアーに参加していない方も、音源を聴いていると思いますが、実際に生で聴くと感想が変わってくるはずです。それが戸惑いになっちゃう時もあるかもしれないので、早めに一度ライブを見ていただきたいです。そして、曲がどんどん進化していくのを全身で浴びてください。ツアーファイナルまでまだまだライブがあるので、できるだけ多くの方と一緒に回って、最後はみんなでめちゃくちゃ笑顔になれるツアーにしたいです」
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