ドラフト会議直前【逸材ファイル】阿南光・吉岡暖 聖地で花開いた「阿南の星」
スポニチアネックス / 2024年10月21日 6時2分
運命のドラフト会議が24日に迫った。投手は関大・金丸夢斗(4年)、野手は明大・宗山塁(同)が目玉と評される今秋だが、他にも光る才能を秘めた逸材たちも吉報を心待ちにしている。スポニチでは注目選手3人に厳選して紹介。初回は、今春選抜8強に導いた阿南光(徳島)の最速146キロ右腕・吉岡暖(3年)の台頭の裏側に迫る。
今春選抜で脚光を浴びる直前まで、吉岡は高校で野球を辞めようと考えていた。「甲子園出場だけが僕の目標でした。だから高校を卒業したら阿南市で就職するのかな…と考えていました」。1年秋から背番号1を担う好右腕として注目の存在ではあった。ただ甲子園のために全てをささげる心構えだったからこそ、その先の未来まで描けていなかった。
2年秋に四国大会準優勝。選抜出場を決定づけたことで夢が決まった。「選抜で結果を残せる投手になろうとするなら、プロを目指さないといけない」。プロ入りへの決意を固めて臨んだ聖地が人生を変えてくれた。登録20人中13人が阿南市出身の地元軍団で8強入り。速球と縦に大きく割れるカーブを武器に2試合連続の完投勝利を挙げ、一気にスカウト陣の評価を高めた。
阿南市に戻ると、少年少女の憧れの的になっていた。球場では写真撮影やサインを求められるようになった。近所の人からは「うちの子が野球始めるんよ」と声をかけられた。「うれしいですよね。この盛り上がりをもっと大きくしたい」と恩返しの思いを強くした。
阿南市役所には10年から「野球のまち推進課」が設立され、野球を通した町おこしが掲げられてきた。その地道な作業の傍ら、同市出身のオリックス・杉本が21年に本塁打王を獲得すると「高校野球の観客も増えた気がする」とNPBの影響力に驚いた。「次はプロの選手から直球で空振りを取りたいです」。甲子園を沸かせた右腕としてではなく、プロ野球選手として地元のヒーローになれる日が刻一刻と近づいている。(河合 洋介)
◇吉岡 暖(よしおか・はる)2006年(平18)8月28日生まれ、徳島県阿南市出身の18歳。小1から津乃峰スポーツ少年団で野球を始めて捕手。中学ではヤング阿南シティホープに所属して投手転向。阿南光(徳島)では1年夏に背番号18でベンチ入り。同秋から背番号1を背負い、3年春に甲子園初出場。50メートル走6秒2、遠投100メートル。1メートル82、85キロ。右投げ右打ち。
▼広島白武佳久スカウト統括部長 面白い投手。直球もまずまず良く、決め球も持っている。リストアップする価値のある投手だと思う。
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