ドラフト会議直前【逸材ファイル】西濃運輸・吉田聖弥 投球スタイル変えて急成長
スポニチアネックス / 2024年10月23日 6時3分
今年の社会人No・1左腕と評される西濃運輸の吉田聖弥(22)は、高卒3年目の昨年限りで現役を引退するつもりでいた。「故障続きで腐っていた。お金をいただいて野球をやらせてもらっている以上、自分は会社に迷惑だと思いました」。最速149キロの直球とチェンジアップを武器に存在感を高めたのは、今年に入ってからだ。ドラフト解禁年の昨年にNPB球団から届いた調査書はゼロ。右足首や左肩の故障に悩まされ、満足に登板機会を得られない立場に甘んじていた。
昨年7月の都市対抗は、故障中で登板機会なし。大会後、現役引退の意向を悟った堀田晃投手コーチから伝えられた。「(引退は)もう少し待て。誰のために野球をやるか考えてみなさい」。すると家族や友人らの顔が次々に浮かんできた。「もし辞めるとしても、この苦しい3年間を応援してくれた人たちにドーム(全国大会)で投げる姿を見せてから辞めよう」。そこから引退の考えは消えた。
転機は、昨年11月の日本選手権で訪れた。初戦の先発を任されるも、1回1/3で降板。好不調の波の大きさを克服すべく、Hondaとの準々決勝前に決めた。「7~8割の力感で真ん中に投げ続けよう」。直球の球威に頼る力投型の投球スタイルを捨てると、4回1/3、1失点の好投につながった。自信をつかみ新年の目標シートに「ドラフト指名」と書いた。
今年の都市対抗では主戦投手として4強進出に導き、スカウト陣をうならせた。「140キロ台の直球でも分かる人に分かる凄みのある投手になりたい」。入社後は苦しんだ時間の方が長かった。その日々に耐え、ドラフト上位候補として会議当日を迎える。 (河合 洋介)=終わり=
◇吉田 聖弥(よしだ・せいや)2002年(平14)5月23日生まれ、佐賀県唐津市出身の22歳。小3から相知レインボーで野球を始めて捕手や遊撃手。相知中では軟式野球部に所属して投手に転向。伊万里農林(佐賀)では1年春に背番号19でベンチ入りし、同秋から背番号1。西濃運輸では23年日本選手権、24年都市対抗に出場。50メートル走6秒8、遠投115メートル。1メートル75、80キロ。左投げ左打ち。
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