2度の大腸がん、脳梗塞乗り越えた苦節30年俳優 初主演映画 人気で3週目公開へ突入「いいのかな?」
スポニチアネックス / 2024年11月3日 13時53分
デビュー30年の俳優・渡辺隆二郎(56)が初主演を果たした映画「Good Dreams」(監督井上竜太)の公開記念舞台あいさつが2日、東京都江東区のユナイテッド・シネマ豊洲で行われた。
10月18日から同所ほかで公開した同作は、当初2週間の上映予定だったが、客足が途絶えず、3週目に突入。「3週目?いいのかな?と思いました。うれしいけれど、ちょっと恥ずかしいです」とトレードマークのリーゼントに紫のスーツ姿で、苦労人らしく照れまくった。
苦節30年でやっとめぐってきた夢の舞台。ここまでの道のりは長かった。26歳で芸能事務所に所属してデビューしたものの、鳴かず飛ばずの日々。時折、役名のない役でドラマや映画に出演。生活費は魚河岸や工事現場などで稼ぎ、一方で、どんな役が来てもできるようにと、早朝の10キロのランニング、空手などの武道のトレーニングを続けていた。そんな生活の中、43歳の時、初期の大腸がんが見つかり内視鏡で切除、51歳で再び初期の大腸がんが分かり、この時も手術した。この間、舌にも腫瘍が見つかり切除。顔面麻痺にも2度なった。
カツカツの生活を繰り返しながらも、演じることの楽しさを追い続ける渡辺と知り合い、魅力を感じた井上監督が渡辺主演の映画を作ることを約束し、クラウドファンディングによる製作を実現させた。ところが、クランクインが昨年8月と決まった昨年1月、渡辺は今度は脳梗塞で緊急入院。視神経に影響が出て視界がゆがんで見え、歩くことがままならなくなり、井上監督ら周囲も製作を半ばあきらめたが、医師も驚く回復を見せ、撮影を予定通り行い、今回の公開に至った。
東京の下町・亀戸を舞台に、渡辺をあて書きした売れない役者りゅうちゃんが人助けのために奔走する笑いと涙の物語。製作サイドには「涙があふれた」「勇気をもらいました」などの声が多数寄せられている。
渡辺は舞台あいさつで「“作品を見て明日から頑張ろうと思いました”という感想をもらい、うれしかったです。“時代遅れのリーゼントですね”というコメントもありましたが、それは勘弁してください」とユーモアを交えながら感謝して頭を下げた。
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