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西武・仁志新コーチ 「ライオンズプライド」取り戻す!最下位から常勝軍団再建へ「言い合えるチームに」

スポニチアネックス / 2024年11月7日 5時31分

外崎に打撃指導する仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチ(右)

 西武の野手チーフ兼打撃コーチに就任した仁志敏久氏(53)が本紙独占インタビューに応じ、最下位からの再建のため「ライオンズプライド」の再築を誓った。巨人、横浜(現DeNA)で通算154本塁打、1591安打を記録し、指導者としても侍ジャパンコーチやDeNA2軍監督で手腕を発揮。まずは来季Aクラス入りを期した。(聞き手・福井 亮太)

 ――西武からオファーが来た時の心境は。

 「西武に所属してもいないし、パ・リーグも初めて。声がかかったことに凄くびっくりもした。非常にありがたいし、うれしかった」

 ――西武の印象は。

 「現役時代は日本シリーズで戦ったことがあるし、自分が子供の頃は黄金期でもあった。常勝チームであってほしい球団ですね」

 ――選手に求めるものは。

 「今はソフトバンクが巨大戦力だけど、西武はパ・リーグをけん引してきた球団。その常勝軍団のプライドをもう一回、築き上げてほしい」

 ――課題は打撃。どのように再建を?

 「変えるというよりもつくり上げていく感じ。若い選手も多いし、これから実績を上げる選手ばかり。DeNAで2軍監督をやらせてもらった経験もあるので、似たような感じかな。でも、次は1軍なので選手が育つだけでなく、勝たなきゃいけない」

 ――勝利と育成の両立は難しい。

 「常に勝つことに対してストイックになってほしい。能力を引っ張り出せば、一流になれる選手たちなので。自分の力を引っ張り出すことがプロで一流になる力。サポートはできるけど、最終的には自分との闘いでもある。自分たちはできるという自信と自覚が必要」

 ――過去の指導経験で生かせることは。

 「侍ジャパンのU―12の監督をやらせてもらっている。プロ野球選手と比べたら失礼だけど、いかにチームと自分に興味を持たせるかが大切。まずはこちらが理解をして話を聞く。一方的に指導してもうまくいかないので、コミュニケーションを取る時間が凄く重要になる」

 ――秋季キャンプでは打撃動画を撮って指導していた。狙いは?

 「本人が“こうしています”と言っても、実はそうなっていないことがある。現状を分かってもらうためには常に違いを見せてあげることが一番分かりやすい。言葉で説明するより、伝わることが多い」

 ――最下位からのスタート。再建プランは?

 「若い選手が多いので内容にこだわらなきゃいけない。当然、結果を求められるが、急には変わらないと思う。ただ、こちら側は言い訳にしてはいけないし、負けた時の原因は我々にある。その中で選手の特長を引き出しながら、平均的な選手にはなってほしくない」

 ――来季目指すのはまずAクラス。

 「当然そう。今年は彼らにとっては幸いだったけど、1軍の打席をたくさんもらえている。それがステップになって、来年は1軍の厳しさを分かってスタートできる。来年はステップアップのチャンスだと思う」

 ――西口新監督、鳥越ヘッドコーチら新体制の中での役割は?

 「役割的には選手の技術の向上。戦略は監督とヘッドコーチで考えてくれるので、その戦略に対しての準備は最低限やっていきたい。おとなしいチームにはしたくない。監督、コーチ、選手が意見を出し合いながら、時にはぶつかる時もあると思う。ちゃんとそれぞれの思いを言い合えるチームにしていきたい」

 ◆仁志 敏久(にし・としひさ)1971年(昭46)10月4日生まれ、茨城県出身の53歳。常総学院、早大、日本生命を経て95年ドラフト2位で巨人に入団。96年に新人王を獲得。07年に横浜(現DeNA)移籍、10年には米独立リーグでプレーし同年6月に現役引退。通算1587試合、打率・268、154本塁打、541打点。14年からは侍ジャパンのU―12日本代表監督を務め、17年の第4回WBCでは内野守備走塁コーチ、21年から3年間はDeNA2軍監督。

 ▼今季の西武 開幕3カード連続勝ち越しで好発進しながら、7連敗など4月終了時点で借金10と低迷。5月には8連敗を喫し、交流戦直前の26日に松井稼頭央監督の休養を発表した。渡辺久信GMが監督代行として11年ぶりに指揮を執ったが、パ・リーグでは初のシーズン4度の8連敗を記録。最終的に49勝91敗3分け、勝率.350で、西鉄時代の71年の84敗を上回る球団最多敗戦になった。

 ≪大学院で学び教授務めた理論派≫【取材後記】感情論ではなく、理論に基づいて物事を捉える思考が印象的だ。仁志新コーチは14年に筑波大の大学院で人間総合学科研究科を専攻し、20年は江戸川大で客員教授を務めていた。体の構造や効率性の理解が深く「フィジカルの上に技術が成り立つ」という持論がある。

 打撃は水もので、選手の感覚が重要ではあるが、指導する中で打撃フォームのロスを的確に見抜いている。それでも選手の考えを尊重し、まずは相手を理解してから会話する。選手と初めて対面した宮崎・南郷秋季キャンプでも意思疎通が早かったように感じる。仁志流の指導法を今後も深く聞いてみたい。(西武担当・福井 亮太)

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