坂本花織 攻めの滑りでV 演技前は同門・壷井の躍動にヘアアイロンを持ちながら大興奮「苦情が来た」
スポニチアネックス / 2024年11月10日 4時31分
◇グランプリ(GP)シリーズ第4戦 NHK杯最終日(2024年11月9日 東京・代々木競技場)
女子は世界選手権3連覇中の坂本花織(24=シスメックス)がショートプログラム(SP)に続きフリーでもトップの152・95点をマークし、合計231・88点で3年ぶりに優勝した。2位に千葉百音(19=木下アカデミー)、3位に青木祐奈(22=MFアカデミー)が入ってNHK杯では16年ぶりに日本勢が表彰台を独占した。男子は鍵山優真(21=オリエンタルバイオ・中京大)が2連覇し、ペアの三浦璃来(22)、木原龍一(32)組(木下グループ)は準優勝となった。
最後の決めポーズが崩れて、坂本は氷を叩いて悔しがった。ただ、熱い演技を見届けた観衆からは万雷の拍手が送られた。冒頭のダブルアクセルから大きなミスなく滑りきり、SPに続いてフリー、合計点ともに今季世界最高得点をマーク。「守りに入らずに前半からぶっ飛ばしていこうと思っていた。今日の出来には満足。とにかく幸せ」。言葉には実感がこもった。
演技前にはテレビで男子フリーを観戦。メーク中だったが、同門の壷井達也が躍動する姿にヘアアイロンを持ちながら大興奮した。「隣の部屋にいた青木さんから“凄く声が聞こえたよ”と苦情が来た」(笑い)。今大会前には同じ貸し切りリンクで滑ることもあった壷井の奮起に胸が熱くなり、自然とスイッチが入った。
第2戦スケートカナダを制しながらも、フリーの演技はジャンプで2度の転倒があるなど満足できるものではなかった。帰国後に不調の原因をトレーナーらと探る中、上半身の左側に痛みが蓄積し、左肩をうまく使えずジャンプの軸が定まっていないことが分かった。そこから体のケアにも時間をかけ、安定感を取り戻した。
NHK杯では08年以来16年ぶりとなる日本女子の表彰台独占となり、その中央に立った。これでファイナルを含めてGP5連勝となり、今季もファイナル進出を決めた。次なる大舞台では2連覇が期待される中で「自分の一番いい演技をできるように調整したい」と坂本。来季のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪も見据え、さらなる進化を目指す。 (西海 康平)
▽日本女子のGP表彰台独占 NHK杯ではコロナ禍のため国内選手のみで行われた20年を除き06、08年以来3度目の快挙となった。06年は(1)浅田真央(2)村主章枝(3)中野友加里。08年は(1)浅田(2)鈴木明子(3)中野。海外開催では今季の第2戦スケートカナダで初達成。坂本、松生理乃(中京大)、吉田陽菜(木下アカデミー)が表彰台に立った。世界選手権、五輪では未達成。
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