イチロー氏 母校・愛工大名電を電撃訪問!OBとして“愛のムチ”「この成績はない」「名電のプライドを」
スポニチアネックス / 2024年11月19日 16時1分
マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が18日に母校・愛工大名電をサプライズ訪問。2020年の智弁和歌山に始まり、今月の大阪・大冠、岐阜と5年連続計10校の高校野球部を訪れ臨時指導を行ってきたが、この日はOBとして同校を訪れた。
3年生と女子部員含め45人の野球部員が整列したグラウンドが騒然となった。
目の前に現れたのは伝説の大先輩だった。驚きの声と大きな拍手に迎えられたイチロー氏は「拍手、いらないから。初めてだね」と笑顔であいさつ。間髪入れず「3年生はバッティンググローブ、来たでしょう?回収です。ベスト8は最低、行ってくれないと」と厳しい言葉を口にした。
イチロー氏「秋の成績は?」
部員「ベスト16です」
イチロー氏「1回戦負けと一緒でしょ。愛工大名電にとっては」
「僕のことを知ってくれているという情報があった」。当然のことだが、イチロー氏は後輩たちに電撃訪問を決めた理由をそう語った。そして「実際に対面してみてどう?」、部員「かっこいいです」、イチロー氏「そういうの、いらないから」と場が和む中で、再び表情を引き締めて後輩たちに語り掛けた。
「(練習の前に)寮や施設などを見学させてもらいました。で、この成績はないでしょ。この施設を持っている学校、ないでしょ。当然、甲子園もそう(目標)でしょうし、そのあと、どうなのか。卒業したあとに、プロで活躍したいという子が多い。監督の話を聞いていて、僕がみんなに教えることはないです。疑問、聞きたいことがあったら聞いてください。気になったのはデータで見えていないことを大事にしているか。それ(データ)だけじゃないこともある。気持ちがどう動くか、感性とか。データでがんじがらめになって、感性が消えていくのが現代の野球。自分で考えて動く。この施設はそれと同じような考え方になっている。僕が伝えられることはそれ以外のことです。みんなのことは気にしていた。凄く見ていた。夏の甲子園予選から見ていた」
自身がプロ野球、そしてメジャーへと渡り日米通算4367安打という前人未到の大記録を刻む“原点”。気にならない訳がない。OBとしての素直な気持ちをストレートに後輩たちに伝えた。
データではなく「感性」の大事さを伝えるために一緒に練習をした後、「みんな、動くと力がある。個々の能力がさすがに高い。雰囲気もいいんじゃない」とうれしそうに汗を拭ったイチロー氏。「他の(臨時指導してきた)学校では基本的には特に遠いところは訪ねることが難しいので、今日(ともに練習した日)が最後が多いけど、名電はあんまり最後の締めの気持ちにもならないけど。(最後の)決めぜりふを残してお別れの感じにもないので」と今後も訪れることを示唆した。
そして「とにかくみんなのことを見ているから。頑張って。名電に入ることは大変。数少ないし、レベル高いし、名電に入ってプレーしていることだけで一定の満足感を得てしまう子もいるかもしれないけど、全然、違うからね。その次を見据えて頑張ってください。じゃないと、終わっちゃうからね。みんな上の野球を目指すわけだから。必ず先を見据えて頑張ってください。これ、一個、伝統として持っておいてください。強豪高はそういう傾向があるから。気を付けてください。でも、名電のプライドを持って、しっかりプレーしてください。愛工大名電の伝統をしっかりと引き継いで、後輩たちに」と柔らかな笑みを浮かべながら後輩たちに熱いメッセージを送った。
清水隆太主将が部員代表で花束を渡し、憧れのレジェンド先輩に誓った。
「必ず、甲子園に行きます。甲子園に見に来てください」
イチロー氏「それは無理だよ(笑い)」
厳しい言葉の数々に母校への、後輩たちへの愛情があふれた約4時間。にこやかに後輩たちを見渡す表情は「世界のイチロー」ではなく、最後まで「名電OBの鈴木一朗」だった。
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