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イチロー氏 母校・名電後輩に走塁の極意を伝授「28年、プロでやっていろいろ迷ったけど、これになった」

スポニチアネックス / 2024年11月19日 18時51分

愛工大名電高野球部を指導するイチロー氏の走塁を見つめる、ソフトバンクからドラフト5位指名された石見

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が18日に母校・愛工大名電をサプライズ訪問。2020年の智弁和歌山に始まり、今月の大阪・大冠、岐阜と5年連続計10校の高校野球部を訪れ臨時指導を行ってきたが、この日はOBとして同校を訪れた。

 「速っ!」「軽っ!」

 日米通算708盗塁を誇る偉大な先輩が「全力で一本、行くので、それを見ておいて」と後輩たちに声を掛けると、51歳とは思えぬ躍動感あふれるストライドでランニング。それを見た選手たちから口々に驚きの声が上がった。

 走り終えたレジェンドは「脚を使う意識はなくて、勝手に進んでいってくれています。とにかく、股関節、下半身を使って。アップの時から形をしっかりものにすることを頭に入れておいて」と真剣な表情で自身の考えを伝えた。

 そして走塁練習。一塁や二塁で実演を交えながらシャッフルをやらない利点などを説明したイチロー氏は「リードする時も股関節を割っています。打球判断をする時も、必ず止まってする。28年、プロでやっていろいろ迷ったけど、これになった。レベルの高い相手に隙を見せてはいけない。動いたらそこで隙が生まれる。走塁ミスは致命的。流れが変わる。打てない、エラーはしょうがない。判断する時は止まって。迷ったら、下(重心を落として)でする。上半身はリラックス、下半身で下をつかむ」と現役生活で積み上げた自身の経験と考えを惜しみなく後輩たちに伝えた。

 成績について、データを重視し過ぎる現代野球に、そして部内の“ため口OK”のあり方に、母校愛ゆえにあえて厳しい言葉を投げかける場面も多く見られた今回の初指導。それでもイチロー氏は「みんな、動くと力がある。個々の能力がさすがに高い。雰囲気もいいんじゃない」とうれしそうに汗を拭った。

 「お互い、長所、短所を指摘しあって、高め合ってください。名電に来るって決めた時、凄い不安があった。長い間、来ていないからどんな雰囲気で野球をやっているのか、怖さの方があったんだけど、みんなと一緒に練習して、実際にやって、やっぱり野球が好きな高校生。気持ちのいい空気だし、頑張ってほしい。また来るかもしれません。母校ですから。愛工大名電の伝統をしっかりと引き継いで、後輩たちに」

 最後までイチロー氏の言葉も、眼差しも、そして指導も、自身の原点である母校で甲子園を目指す後輩たちへの愛であふれていた。

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