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イチローさん 母校・愛工大名電を18年ぶり訪問 後輩45人に「感性」の大事さ「名電プライド」説く

スポニチアネックス / 2024年11月20日 4時52分

愛工大名電高野球部を指導するイチローさん

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさん(51)が18日に愛知県春日井市の愛工大名電グラウンドを訪問。20年から5年連続11校目となる高校生への指導で、日米通算4367安打を放ったプロ野球人生の原点の地で指導した。この日は米野球殿堂が25年の殿堂入り候補者14人を発表し、メジャー通算3089安打のレジェンドも候補入り。日本人初の選出は確実で、史上2人目、野手初の満票選出が実現するかに注目が集まる。

 懐かしい母校のグラウンドに、イチローさんはサプライズで登場した。後輩らが驚く中、いきなりダメ出しからスタートする。今夏の愛知大会前に打撃用手袋60セットを贈ったが、チームは5回戦で敗退とあり「回収です!」と笑いながら宣言。寮などの施設も見学し「この施設を持っている学校、ないでしょ。で、この成績はないでしょ」と指摘した。

 厳しい言葉はマリナーズ時代の06年以来、18年ぶりに訪問した母校に期待を寄せているからこそ。キャッチボール、走塁、打撃、守備練習も行い、これまで指導した高校と同様に股関節、肩甲骨などをいかに使うかの重要性を強調した。同時にイチローさんが伝えたのは「感性」をいかに大切にするか。「データで見えてこないことを大事にしているか。気持ちがどう動くか、感性とか。データでがんじがらめになって感性が消えていくのが現代の野球」。日米で「データ至上主義」が全盛。ただ実際の試合では本人の感覚による瞬時の判断が必要な局面が必ず来る。「そういうところを大切にしてほしい」と訴えた。

 「愛工大名電の伝統をしっかり引き継いで。名電のプライドを持ってプレーしてください」。下級生が時折、上級生に「タメ口」を使っていると聞くと「緩くなったらずっと緩くなる。ある程度、上下関係はあってほしい」とも言った。感性と、伝統校のプライド。直近9度の夏の甲子園出場で1回戦敗退が7度の母校の躍進を、先輩は心から願っている。

 約4時間の指導。久しぶりの訪問で「どんな雰囲気で野球をやっているか。怖さや不安があった」と振り返ったイチローさんは「個々の能力がさすがに高い。やっぱり野球が好きな高校生。気持ちいい空気」と喜ぶ。これまで複数回指導した高校はないが「また来るかもしれません。母校ですから」と再訪も約束。愛する母校は、もっともっと強くなる。

 ≪倉野監督も称賛「“イチロー”を継続している」≫イチローさんの在校時はコーチだった倉野光生監督は「彼ら(選手)にとって野球の神様。母校で教えてもらえることが念願だったけど、イチロー君自身もそうだったと思う」と感謝した。最初のランニングを見て「あの姿だけで圧倒された。基準が違いすぎる。51歳だっけ?“イチロー”という選手を継続している」と驚きの表情。イチローさんの母校訪問は堂上が中日に高校生ドラフト1巡目指名された06年以来。その際は倉野監督と堂上でイチローさんの実家にもあいさつに行ったという。

 ▽イチローさんの愛工大名電時代 2年夏は愛知大会決勝で稲葉篤紀(元日本ハム)を擁する中京(現中京大中京)に勝利して甲子園出場。天理との1回戦は「3番・左翼」で初回に右前打も同大会優勝投手の南竜次(元日本ハム)の前に4打数1安打で試合も1―6敗戦。3年春は1回戦の松商学園戦に「3番・投手」で先発し、9回10安打3失点と粘投も、打撃は5打数無安打で2―3敗戦。3年夏は愛知大会決勝で東邦に敗れた。91年ドラフト4位でオリックス入団。

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