二刀流ギタリストさらなる高みへ…RAZOR・剣 「もっと売れたい。みんなを大きな会場へ連れていきたいから」【ソロインタビュー連載第1回】
スポニチアネックス / 2024年11月21日 11時2分
5人組ヴィジュアル系ロックバンド「RAZOR」(レザー)が、結成8周年を記念した全国ツアーを精力的に巡っている。先月リリースされたベスト盤「残光」には、リード曲「AfterGlow」をはじめ、RAZORの歴史と現在が凝縮された全12曲を収録。バンドとの向き合い方やツアー中のエピソード、そして未来へのビジョンを見つめるメンバーに迫るソロインタビュー連載をお届けする。1回目はギターの剣(つるぎ)です。
――10月にベスト盤「残光」が発売されましたが、どのようなアルバムになったと感じていますか。
剣「RAZORとしての活動は今年で8年目、11月30日で丸8年になります。コロナ禍もありましたし、ちょうど活動の前期と後期を分けるような形になったと思います。今回のベスト盤は、どちらかというと後期のRAZORの音楽が詰まったアルバムになっているんですよね。もちろんこれからもRAZORは続いていくんですが、初期のRAZORとは違った“バンド感”や“楽曲感”が、ある種の熟成を経て凝縮された2枚目のベスト盤になったかなと思っています」
――剣さんがメインで作曲をされていると伺いましたが、今回のベスト盤にはどんな特色がありますか?
剣「ほぼ僕が原曲を手掛けているんですけども、これはいわゆるベスト盤ということで、今までリード曲やシングルとしてリリースした楽曲が集まっているんです。1曲1曲のテーマや曲調がしっかりしていて、それぞれに独特な色があるんです。曲を聞いて『これだ』とすぐ分かるようなイントロやテーマを大事にしてきましたから、改めて聴き直すと、1曲ごとに鮮明なカラーがあるなと感じています」
――1曲ごとに異なるテイストを意識されていたんですか?
剣「そうですね、例えば前の曲が激しいテンポのものなら、次は少し抑えめにしようかとか、ざっくりと方向性を考えながら作っています。ただ、その時の自分の気分や、日常で感じたこと、日本で話題になっていることや悲しいニュースなど、知らず知らずのうちに影響を受けて作っている部分もあります。たとえば、『エアレンデル』というバラードは昨年の7周年に合わせたリード曲で、満を持してのバラードシングルとして作りました。そういった、その時々のテーマが自分の中に自然とあるんだと感じますね」
――「AfterGlow」は深夜のテレビでも流れている曲ですが、こだわりについて教えてください。
剣「はい、この『AfterGlow』も僕が原曲を作らせてもらいました。同時に対になる曲として『さよなら』という楽曲もあって、これはRAZORが活動を始めた初期の頃から存在しているんです。ただ、音源としてはリリースされていなかったんですよね。この『さよなら』は人との別れをテーマにした曲で、逆に『AfterGlow』は出会いを表現しています。別れがあれば出会いもある、そんな両極端なテーマを対比して表現したくて。『AfterGlow』の意味は“残光”で、これまでの軌跡が未来に繋がっていく、そんな想いを込めて作りました」
――この2曲はベストアルバムに収録されていますね。テレビで流れているのを聞いた感想はいかがですか?
剣「正直、今でも不思議な気持ちですね。RAZORとしては8年、バンド人生としては20年近くなりますが、自分の部屋で作っていた楽曲が世の中に流れているというのは、まだ実感が湧かないです。不思議だし、すごいことだと思います。自分の作品が少しでも誰かの耳に届き、その人の人生に何か影響を与えられているとしたら、それが何よりも嬉しいですね」
――「現代社会とヴィジュアル系」というテーマでボーカルの猟牙さんがXに投稿しましたが、どう感じられましたか?
剣「これはうちのボーカルの投稿ですが、ヴィジュアル系というカテゴリーについて改めて考えるきっかけになりましたね。僕が影響を受けたアーティストには、X JAPANさん、L’Arc~en~Cielさん、GLAYさんといった方々がいて、当時はヴィジュアル系という言葉自体、あまり意識していませんでした。突然そのジャンルがカテゴライズされて、自分が好きだった音楽がヴィジュアル系だと知ったんです。昔と比べるとヴィジュアル系の定義も考え方も大きく変わっている印象があります。今はコンプライアンスの影響も強く、昔なら問題にならなかった表現が制限されることが増えました。ヴィジュアル系も細分化して、J-POPのような美しい楽曲をやるバンドもいれば、社会風刺や過激な表現を用いるバンドもいます。それぞれのバンドが、今の時代と戦っているように感じますね」
――確かに、ロックやヴィジュアル系には反骨心が大事ですよね。
剣「そうですね。ロックって本来、少し反社会的な要素や反骨心があって、そういった部分が共感を生むこともあると思うんです。普段は真面目に生きている人たちも、心の奥底ではこういうことを感じているんだよ、と代弁するのが僕らの役目かなと。そんな音楽が、少しでも誰かの力になれたらと願っています」
――さて、結成8周年を迎えたRAZORは、現在全国ツアー中ですね。ツアーは11月30日がラストになるとか。
剣「はい、11月30日にツアーファイナルを迎えます。長く続けてきたこのバンドで、最後まで全力で駆け抜けたいと思っています」
――ツアー中の舞台裏でのエピソードなどあれば教えてください。
剣「そうですね、楽屋ではしょっちゅう笑ってます。何で笑ってるのか正直覚えてないんですけど(笑)、その場の会話の流れで思いついたことを話して、いつも賑やかですね。ただ、スケジュールがかなりハードでタイトなときは、みんな静かにしてることもあります。必要以上の力を使わないようにして、ライブに集中する準備をしている感じですね。でも、そんな中でたまにボーカルが突拍子もない声を出したりして、急に和やかな雰囲気になることもあります。こういうのがチームのいいところですね」
――静かなときはお互い気を遣ったりすることもあるんですか?
剣「特に意識はしてないですね。お互い疲れてるから、自然と話すのを控える感じです。でも、ライブが始まれば疲れなんて全然感じなくなります。楽屋で騒がしいときもあれば、みんな疲れてるなって感じのときもありますけど、いいバランスですね」
――11月30日で結成8周年を迎えますが、現時点で実現できて嬉しかったこと、また目指していることがあれば教えてください。
剣「まず、8年続けてこれたこと自体がありがたいです。僕たちの『やっていくぞ』という気持ちが形になって8年を迎えられたのは、事務所や何よりファンの皆さんのおかげです。ファンの方々がライブに来てくれたり、CDを買ってくれたりすることで、僕たちは存在できるんだと確信しています。それが一番嬉しいし、これからもその思いに応え続けたいです」
――ファイナル公演に向けての意気込みをお願いします。
剣「8周年という節目の公演であり、同時に9年目へのスタートでもあります。9年目に向けて、自分たちの成長や新たな姿をしっかりと皆さんに見せていきたいと思っています。これからもRAZORらしさを伝え続けたいですね」
――11月30日の8周年記念ライブは特別な気持ちで迎えそうですか?
剣「そうですね、でも僕個人としては、やはりライブ一つひとつが大事なんです。もちろん11月30日が特別な日であるのは間違いないんですが、僕にとってはどのライブも大切な“記念日”のようなもので、一つの節目に過ぎない感覚もあります。年末年始やお正月みたいな感じですね」
――8周年を迎えて、次は9年、そして10年と続いていきますが、これからの目標を教えてください。
剣「単純に、もっと売れていきたいです。今支えてくれているファンのみんなには感謝しかありませんが、そのみんなをもっと大きな会場へ連れていきたいという気持ちは強くあります。良い曲を作って、良いライブをしていくこと、それが僕の目標ですね。あと、僕はもう一つ『Sadie』というバンドもやっているんです。RAZORもSadieも違ったカラーがあるんですが、RAZORとしての自分もさらに大きくしていきたいという思いがあります。両方のバンドで自分を高めつつ、どちらも負けないように発信していきたいですね」
――ファンも今の活動を応援してくれているようですね。
剣「はい、最初は両方のバンド活動を心配してくれたファンもいましたが、自分が行動で見せることで信頼を得ることができたのかなと思っています。やはり、言葉よりも行動で示すのが一番大事ですね。僕たちは少し特殊な仕事をしていると思うので、普通じゃないものを見せていきたい。『何言ってんだろう』って少し不思議に思われるくらいの、生活の中では感じられないようなものを提供するのが自分の使命だと思っています」
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