セクハラ問題の「ディオッサ出雲FC」 行為の特定できず調査継続も、監督の「自粛解除」申し出を受け入れ
スポニチアネックス / 2024年11月21日 18時48分
女子サッカーのなでしこリーグ2部「ディオッサ出雲FC」(島根県出雲市)に所属するブラジル人2選手が監督らからセクハラやいじめを受けたと訴えている問題で、同クラブは21日に公式サイトを更新。現時点で行為を特定、または確認できていないとして、引き続き調査を進めるとした。また、活動自粛中だった監督から「活動自粛の解除」の申し出を受け、受け入れることも発表した。
今月6日に、クラブのブラジル人選手、ラウラ・スペナザット(26)とフェへ・タイス(25)が出雲市で会見。チームが通訳を同行させる契約義務を怠った上、監督らからセクハラやいじめを受けて精神疾患と診断されたとして、監督らの解任を求めたと明らかにした。日本女子サッカーリーグにも被害を告発していた。弁護士によると、ミスをした際は男性の監督らからポルトガル語で「性器」などを意味する言葉を投げかけられたという。ともに7月にうつ状態と診断され、8月から練習に参加できていない。
この日、クラブは公式サイトを更新し「当クラブにつきましては、昨今、報道機関各社による報道がなされているとおり、当クラブ所属の選手2名の代理人である藤塚雄大弁護士から、当クラブに対して契約履行請求、環境改善要求および損害賠償請求を求められているところです。つきましては、本件請求に関し、本書作成日現在における、当クラブからお伝えできる事項及び今後の方針等に関して、本書をもちましてお知らせいたします」と伝えた。
内容は以下の通り。
1、通訳の帯同に関して
すでに報道がなされているとおり、当クラブの対応に不適切な点があったことを認めています。今後については、金銭賠償に関して、本件代理人と調整を行う必要があると考えています。
2、選手起用に関する発言等に関して
本件代理人が当クラブに対して送付した令和6年8月13日付「通知書」によれば、2024年5月23日に、監督が、当クラブのウェルフェアオフィサーである大谷氏に対して行った発言をもって、本件選手に対するパワーハラスメントを行い、これによって本件選手が精神的苦痛を被った旨の記載があります。
同日に行われた協議の場には、本件選手は不在で、本件選手に向けられていない発言がどのようにして本件選手に対する不法行為を構成するのかについて、改めて確認の必要があるため、本件代理人への確認及び必要に応じて追加調査を行う予定です。
3、性的な発言および敵対的行為に関して
本件代理人が当クラブに対して送付した令和6年8月13日付「通知書」においては、監督及びコーチングスタッフが、練習中及び試合中、「ポーハ」「カラーリョ」「puta que pariu」という言葉を、幾度となく使用した旨の記載があります。
しかし、上記行為については、行為主体となりうる複数名のうちだれが、いつ、どの言葉を、どのような状況で、誰に対して発言したかが特定されておりません。なお、上記の点を措き、当クラブが選手等に概括的にヒアリングした限りでも、特定がなされませんでした。
一般論として、上記のポルトガル語については、いずれも、スラングとして、日本語で言うところの「くそっ」「ちくしょう」や、英語で言うところの「fuck」などといった意味を持つ言葉であり、サッカー競技においても、プレーでミスをしたとき等に、悔しがる際に使われることがあるため、発言があったとされる場所、状況等が重要になると考えておりますので、引き続き、より具体的にどのような行為があったのか、その状況等について慎重に調査を進めてまいる所存です。
また、本件代理人が当クラブに対して送付した令和6年8月13日付「通知書」においては、監督及びコーチングスタッフが、当該選手に対し「脈絡なく薄ら笑いを向けたり、舌打ちを行ったり、睨む」などの行為を行った旨の記載があります。
この点に関しても、上記同様、現時点で当クラブが当該行為を特定、存在を確認できておりませんので、引き続き調査を尽くしてまいる所存です。
4、下着を干したことについて
本件代理人が当クラブに対して送付した令和6年8月13日付「通知書」においては、監督が自らの下着を、クラブハウス内の選手の目に触れる場所に干しており、かつ、選手が抗議をしたのに、これを継続していた旨の記載があります。
この点についても、行為の特定(日時等)はなされておりませんが、この点を措くとして、当クラブの調査によれば、監督がトレーニングウェアとともに下着を洗濯し、これを干したことがあることは確認しているものの、「選手が監督に対して抗議をした」事実は確認できませんでした。
また、洗濯物が干されたとされる場所は、「クラブハウス」という記載から連想されるような場所ではなく、一般の居室に、所せましとサッカー用具が格納されている用具置き場で、選手のウェアやインナーウェア等が干されていることもしばしばあり、本件代理人の通知文から読み取れる、「男性である監督が、自らの下着を殊更に、異性の目に触れるような場所・態様で干していた」印象とは大きく異なります。
5、今後の対応について
今後につきまして、当クラブは、本件の事実の確認及び本件代理人との対応窓口その他これらに関連する事項について、紙尾浩道弁護士(東京弁護士会)に依頼の上、手続きを進めてまいります。
なお、同弁護士によれば、当クラブが所属するなでしこリーグにおける何らかの事実調査手続が行われるようであれば、同手続に協力していくことが、第三者性の面でも利点がある旨の助言を得ておりますため、必要に応じて、なでしこリーグとも連携の上で事実調査を進めてまいります。
なお、当クラブの監督につきましては、本件について報道およびSNSでの投稿が過熱していた、令和6年11月6日ころから、本人から「活動自粛」の申し出を受け、これを受け入れてまいりましたが、この度、上記のとおり、今後の方針がおおむね定まったこと等も踏まえ、監督から「活動自粛の解除」の申し出を受け、上記弁護士とも相談の上、これを受け入れることといたしました。
今後も、進展があり次第、適宜の方法で当クラブの見解や対応方針等について発表してまいりますので、これをお待ちいただけますと幸いです。なお、当クラブ運営法人の理事、当クラブのスタッフおよび選手個人に対する個別の取材等には応じかねますので、悪しからずご了承ください。
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