中畑清氏 完全アウェーの敵地で台湾初優勝「あっぱれ!」
スポニチアネックス / 2024年11月26日 5時32分
【キヨシスタイル!】第3回プレミア12の決勝。日本が負けたんだけど、悔しさは感じなかった。むしろ初優勝を飾った台湾の選手が泣いているのを見て感銘を受けたんだよね。
国際大会27連勝中と無敵の侍ジャパンを相手に4―0の完封勝利。4投手による継投でスーパーラウンド3試合全て9得点の強力打線を散発4安打に抑えれば、打っては戸郷に2本塁打を浴びせて4点を奪った。
投手陣は堂々と攻め込んでさ。打線は15三振を奪われながら、思い切りのいいスイングで好球を捉える。完全アウェーの敵地で「あっぱれ!」の勝ちっぷりだった。
3ランを放って大会MVPに輝いた陳傑憲(チン・ケツケン)は岡山の共生高に留学してたんだってね。2番手で投げた張奕(チョウ・ヤク)はオリックス、西武に在籍。3番手の陳冠宇(チェン・グァンユウ)はロッテにいた。日本の野球に対して相当な思いがあったはずだ。
4回を1安打に抑えた先発の左腕・林イク〓(リン・イクビン)はダイヤモンドバックス傘下のマイナーから来季はメジャー昇格が期待されているらしい。2026年のWBC、メジャーリーガーが参加するかもしれない28年のロサンゼルス五輪。日本にとってはアジアにおける手ごわいライバルになってくる。でも、これから先の野球界のためには今回、台湾が勝ってくれてよかったと思っている。強敵がいてこそ、地域のレベルが上がるんだ。
私の現役時代、日本のプロ野球で活躍する台湾出身の選手はたくさんいた。中日で106勝、116セーブを挙げた郭源治(カク・ゲンジ)、西武で117勝した「オリエンタル・エクスプレス」の郭泰源(カク・タイゲン)、中日、阪神で通算277本塁打を放ち本塁打王にもなった大豊泰昭…。巨人のチームメートには88年途中、最初の9試合で7本塁打と鮮烈なデビューを飾った呂明賜(ロ・メイシ)がいたなあ。当時プレミア12やWBCのような国際大会があって、彼らでオール台湾チームを編成したら相当強かったと思うよ。
アジア野球の新時代を感じさせる台湾の躍進。侍ジャパンは今回の結果を発奮材料にして、2年後のWBCに向かってほしいな。(本紙評論家・中畑 清)
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