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永瀬九段 藤井王将への挑戦権獲得 “タクヤ対決”でプレーオフ制す

スポニチアネックス / 2024年11月26日 5時17分

王将の駒を手にガッツポーズする永瀬九段(撮影・島崎忠彦)

 将棋のALSOK杯第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は25日、東京都渋谷区の将棋会館で挑戦者決定リーグのプレーオフを行い、後手の永瀬拓矢九段(32)が西田拓也五段(33)を118手で下し、4期ぶり2度目の7番勝負出場を決めた。1次予選から勝ち上がり、5勝1敗の好成績でプレーオフに進出した西田はタイトル戦初出場に惜しくも及ばなかった。

 タクヤ対決は永瀬に軍配が上がった。最終盤の110手目△8五飛と桂を拾った場面で「駒得で攻める形になり、指せていると思った」と勝利への手応えをつかむ。自らの王は1一にぽつんとたたずんでいるが、全く危なげない。挟撃に音を上げた西田がギブアップし、藤井聡太王将(22)=7冠=への挑戦権を手中にした。

 持ち味の「負けない将棋」をまたも具現化した。三間飛車の西田に対し定番の穴熊で対応する。右辺での折衝が続くものの、堅固な囲いは微動だにしない。7二に歩を垂らされた後の72手目△4四銀が真骨頂。守りを固めただけでなく、相手飛車の顔面に△3五歩と打ち付ける橋頭堡(ほ)の意図があった。

 「3五歩から逆算しての4四銀です」。手厚い受けのようにみえて、実は攻撃に一役買う妙手。この手順から相手の闘争心を徐々に削っていった。

 タイトル戦に過去13回登場し、5期の獲得を誇る永瀬だが、ここ2年ほどはなぜか挑戦者決定戦で星に恵まれなかった。昨年3月の叡王戦挑戦者決定戦で菅井竜也八段に敗退。以降、翌24年3月の同戦(対伊藤匠七段)まで4連続してタイトル戦出場を阻まれた。「これだけ挑決に負ける棋士はいないでしょう」と自虐のコメントを残していたが、7月の王座戦で羽生善治九段を下し、ようやくトンネルを抜け出した。

 王座戦に続く今回の王将戦もプレーオフ勝利。「少し前に、藤井王将と2日制のタイトル戦を指していないと気がついた。過去は5番勝負ばかり。7番勝負で藤井王将との対決は新鮮な戦いになりそうです」と、年明けの大勝負に視線を向けた。練習将棋仲間でもあり、昨年、今年と王座戦では苦汁をなめた好敵手でもある藤井とのひのき舞台は過去3シリーズ全敗。4度目の激突で一矢返したい。(我満 晴朗)

 〇…敗れた西田は「力及ばずでした」と肩を落とした。にらみ合う展開が続いたが、72手目△4四銀と指され「見えてなかった。それまでは指せていると思っていた」と語った。自らの攻め筋を封じられ、さらに78手目△9八馬と香を取られた手も「軽視していた」と反省。持ち駒にされた香を攻めに使われ、馬の働きも抜群に。ジワジワと形勢を離された。

 リーグ初参戦ながら、5勝1敗と破竹の勢いでプレーオフに進出した。今期を「出来過ぎです」と振り返る。来期に向けては「残留してまたチャンスがある。頑張りたい」と意気込んだ。

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