日本メディアで唯一質問 大谷番記者も冷や汗をかいた MVP電話会見の舞台裏
スポニチアネックス / 2024年11月27日 7時4分
今年も不安との戦いだった。日本時間11月22日午前9時20分。ドジャースの大谷が大リーグ専門局の中継で3度目の満票MVPに輝いたことが発表されると、約20分後にBBWAA(全米野球記者協会)主催の電話会見が開かれた。
新型コロナ禍以降、「Zoom」などを利用したオンライン会見が広く普及したが、BBWAAは投票権を持つ新人王、最優秀監督賞、サイ・ヤング賞、MVPで、伝統的に受賞直後の電話会見の開催を続けている。
電話会見は、以下のような流れだ。まず、事前にBBWAA所属の記者にメールで送られてくる指定の番号に電話し、所属と名前を伝える。その後、司会者と受賞者の通話回線に入ることが許可され、記者のマイクはミュート(無音)になる。質問がある場合は「1」と「#」を押す。司会者に指名された記者はマイクのミュートが外れ、質問が可能になり、会見が進んでいく。
ちなみに、この流れは、事前に全て英語で案内される。私は今年でMLB担当7年目だが、対面の英語と違って、電話の英語は相手の顔やしぐさが見えず、いまだに慣れない。21年受賞時は“奇跡的”に質問に成功したが、23年受賞時は会見自体が急きょ中止に。「電話回線など機材のトラブル」との情報もあった一方で、米メディアはFA交渉中であることが理由と指摘していたが、当時は電話会見がいつまで経っても始まらず「もう会見始まってる?」、「終わった?」、「中止ってどういうこと?」と他社の記者と頻繁にメッセージで確認するなど、大きな不安に駆り立てられた。
今年は無事に電話会見に参加できたが、何度「1」と「#」を押しても、システム的に受理されている手応えがなかった。7人目の質問が終わると、司会者が再度「質問者は『#』と『1』を押してください」と案内。ハッとして、急いで「1」、「#」ではなく、「#」、「1」の順で押すと、すぐに大谷の声を遮る形で「質問をする準備をしてください」という自動音声メッセージが流れた。
ついにきた。10人目に質問の出番がやってきた。司会者に「ナキユキ ヤンガハラ フロム スポーツニッポン」と名前が呼ばれ、「You have been unmuted.(ミュートが解除されました)」と自動音声メッセージが流れた。私の名前は「ナオユキ ヤナギハラ」だが、事前の予告があったため、迷わず反応することができた。
まず「この度はおめでとうございます」と話し、大谷の返事は聞こえなかったが「現在のリハビリ状況をお聞きしたいのですが、どんなメニューをして、また次のステップはどんなものになるのか教えてください」と質問を投げかけた。すると、大谷の回答は「今は主に可動域を広げていく作業をしていて、もう抜糸も終わって傷口は閉じているので。きょうから、本当についさっきから体幹トレーニングと下半身のトレーニングがようやくスタートしたという感じです」というものだった。
ウィル・アイアトン通訳の代役で通訳を務めたマット日高氏が大谷の回答を訳している間に、自動音声で「The Host has muted your line.(主催者があなたの回線をミュートにしました)」と流れた。いちるの望みをかけて「もう1つ質問、すみません。2021年は1人で受賞発表に出演されて、今回は…」と続けたが、私の声は届くはずもなく会見は強制終了。私の額や手のひら、鼻の頭にはびっしょりと汗がにじんでいた。
電話会見には問題点が少なくない。まずオンラインに比べ、電話の音声は聞き取りづらく、録音するとさらに聞き取りづらい。接続状況は不安定で、今回の会見冒頭で電話がいきなり切れたという記者は少なくとも2人確認した。「質問をする準備をしてください」という自動音声には助けられたが、同時に大谷の声がかき消されてしまったのはまずかった。大前提として、相手の顔が見えないこともベストな形とは思えない。また、質問者の指名は米記者に偏っていた。今回指名された質問者は計10人。同じ会社の別の記者が質問者として指名されるケースもあり、結果的に私が日本メディア唯一の質問者となった。
大谷はこれからもMVPを何度も受賞するだろうし、サイ・ヤング賞だって受賞するチャンスがある。もちろん対面取材がベストな形だろうが、オフシーズンはそれが現実的ではないのも事実。来年こそはオンライン取材が実現することを強く願っている。(記者コラム・柳原 直之)
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