北口榛花に旭川市長から壮大な“プレゼント” 4つの公約実現へ明言も「市長さん大丈夫かな…」
スポニチアネックス / 2024年12月3日 5時2分
スポーツニッポンフォーラム制定「FOR ALL 2024」の表彰式が2日、東京都文京区の東京ドームホテルで開催された。グランプリには8月のパリ五輪の陸上女子やり投げで日本女子のトラック&フィールド競技初の金メダルを獲得した北口榛花(26=JAL)、特別賞にはバレーボール女子元日本代表主将でパリ五輪を最後に引退した古賀紗理那さん(28)が選出された。副賞として北口に100万円、古賀さんに50万円が贈られた。
五輪女王にサプライズが待っていた。故郷の北海道旭川市から駆けつけた今津寛介市長(47)が祝辞で突然“3つの公約”を披露した。「(1)北口榛花の日(2)北口榛花記念陸上競技場(3)記念モニュメント」と、どれも驚きの内容ばかり。北口も思わず「市長さん大丈夫かな…」と豪快に笑うしかなかった。
(1)はパリ五輪金メダルを獲得した8月11日(日本時間)か、凱旋パレードを行った10月13日が候補となり「スポーツに親しむ日にしたい」と市長。(2)は北口が高校時代に汗を流した花咲スポーツ公園陸上競技場の名称変更となる。(3)については「個人的には北口神社にしたい。パレードの時に取った手形をご神体にしたい。おさい銭は子供たちのスポーツ整備に使っていきたい。場所につきましては、旭川市役所の“北口”に」と市長が明かすと、会場はドッと沸いた。
北口も負けていない。市長のアイデアに対し異例の逆提案を繰り出した。「モニュメントを建てるなら、北口榛花ロード的なものをつくっていただき、日本記録を更新するたびに自分の距離が分かるラインを引き、更新するたびに工事していただいた方が私的にはうれしい」と笑った。
北口の提案を伝え聞き、早速、乗り気になった市長は「議会や所属先(JAL)、本人の意向もある。できる範囲で実現したい」と明言。1つ加えて計4つの公約の実現に向け、早ければ来年にも動き出すという。「旭川というより、もはや北海道を超えて、日本、世界の北口榛花さんじゃないでしょうか」と市長の賛辞は止まらなかった。
来季に向けて北口は心機一転、11月から始動した。連覇の懸かる来年9月の世界選手権(国立競技場)へ、体操や水泳など自らの強みの柔軟性を生かした基礎的な練習も取り入れている。「パリでは金メダルだったけど、記録がちょっと…というところがある。これからも夢の70メートルに向けて頑張り続けたい」。北口が描く放物線の先には、まだ見ぬ夢が詰まっている。(大和 弘明)
【北口に聞く】
――受賞の気持ちは。
「2年前も(グランプリ)賞を頂いたけど=写真、今日は絶対に泣かないぞという気持ちで頂いた。毎回、表彰前の映像と表彰の文面で感動がよみがえる。毎回危ないけど、今回は耐えられて良かった」
――スピーチには慣れたか。
「慣れてないから(緊張で)あんなしゃべりになってしまう…。準備したモノを話すより、その時の気持ちを話した方が勝手に良いのではないかと思って、このスタイルでいきたい」
――来季以降どんなシーズンを過ごしたいか。
「何か賞を頂くということは、そのシーズンの成績次第。まずは自分が納得する記録を投げて1シーズンを終えられるといいな。来年の世界選手権では日本の皆さんの前で良い投てきをして、皆さま方と一緒にまた君が代を聴けるように頑張りたい」
――日本を元気づけて表彰を受けたが、逆に元気をもらっているものは。
「スポーツを見るのが大好き。いろんな選手の活躍だったり、成績だったり、起こしているアクションだったり、そういったものは元気、力をもらう瞬間になっている」
――オフの練習の進捗(しんちょく)状況は。
「練習の回数が少ないけど、今年こそは焦らずに土台をつくるのが大事なこと。そういったことはできている」
≪流行語トップ10「ビックリ」≫スポニチフォーラム前には、新語・流行語大賞の表彰式に出席。パリ五輪時に発した「名言が残せなかった」というフレーズがトップテン入りし「ここまで来ちゃったのがビックリ」と目を丸くしながら話した。ノミネート以降は「名言を思いつきましたか?」と聞かれるようで「名言を残すのは難しいと身に染みて感じたパリ五輪だった」と振り返った。
◇北口 榛花(きたぐち・はるか)1998年(平10)3月16日生まれ、北海道旭川市出身の26歳。旭川東高―日大卒。20年にJAL入社。高1でやり投げを始める。21年東京五輪12位。24年パリ五輪では陸上の日本女子フィールド種目で初の金メダルを獲得。世界選手権は22年銅、23年に金メダル。自己ベストは23年9月にマークした現日本記録の67メートル38。1メートル79、86キロ。
◇スポーツニッポンフォーラム 「スポーツで日本を元気にしよう」というコンセプトで開催しているフォーラム。開催は年4~5回で、そのうちの1回は表彰制度「FOR ALL」を設けている。表彰者は選考委員会を経て決定。(1)スポーツを通じて日本を元気づける顕著な働きをした個人または団体(2)社会貢献ならびに地域振興に寄与した個人または団体にグランプリ、特別賞が贈られる。
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