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松井玲奈 「おむすび」のしなやかな芝居

スポニチアネックス / 2024年12月4日 8時17分

連続テレビ小説「おむすび」でチャンミカこと相原三花を演じる松井玲奈(C)NHK

 【牧 元一の孤人焦点】俳優の松井玲奈(33)が、NHK連続テレビ小説「おむすび」で、主人公・米田結(橋本環奈)の姉・歩(仲里依紗)の友人・相原三花(通称・チャンミカ)を演じている。

 制作統括の宇佐川隆史さんは松井の起用理由について「『まんぷく』(2018年の連続テレビ小説)での素晴らしいお芝居が印象に残っていました。神戸に帰った歩がかつての仲間としてすんなり受け入れられるのはどんな人物だろう?と考えた時、自然に浮かんだのが松井さんでした。歩のように感情が激しく動く人に対し、松井さんが持っているしなやかさが生きると思いました」と説明する。

 チャンミカは歩の中学時代からの友人で、現在は古着店の店主として神戸のギャル文化を支えている。12月4日放送の第48回では、米田家で初めて結と対面し「妹ちゃんもギャルやんな!?」「ほな、タメ語でええよ」「いつでも店に遊びにおいで」と話しかけた。

 演出した小野見知さんは、松井がギャルの先輩として方言を使って演じたこのシーンについて「まだチャンミカを演じ始めたばかりの頃に撮ったので、とても難しかったと思います。私が『チャンミカは米田家に来て夕飯を一緒に食べて愛子さん(麻生久美子)とも仲良くなって座っています』とお伝えしただけで『あ、分かりました。じゃあ、座り方はこうしようかな』とつかみ取ってくれて、米田家にずっと通っているかのようななじみ具合で演じてくれました。結ちゃんとあいさつする時は『ギャルの先輩として話しかけてください』とお伝えしたら、あのように演じてくれました。あのシーンはほぼ松井さんのナチュラルなお芝居です」と明かす。

 松井の朝ドラ出演は「まんぷく」「エール」(20年)に続いて3作目。NHKの作品としては23年の大河ドラマ「どうする家康」にも出演している。「家康」出演時のインタビューでは役者としての今後の抱負として「もっと楽な状態でお芝居ができるようになったらいいなと思います。楽な状態で臨むことで、さらに表現の幅が広がったり、思いがけないアイデアがぽんと出てきたりしそうだからです。柔軟性のあるお芝居ができる人になりたい」と語っていた。

 今回のシーンには、松井の楽な状態、柔軟性が表れているように見えた。

 小野さんは撮影時の様子について「リラックスしてあの場に溶け込んでくれていたように見えました」と振り返り、起用を決めた宇佐川さんも「松井さんのチャンミカは想像以上です。無理をせず、自然体で人と接することができる人物になっています」と語る。

 松井はアイドルグループ「SKE48」出身。この朝ドラには、主演の橋本をはじめ、「博多ギャル連合(通称・ハギャレン)」のメンバーを演じる、みりちゃむ(22)ら4人などアイドル経験者が多い。

 宇佐川さんは「それは本当に偶然です。松井さんは有名な人ですが、今は役者として見ています。ただ、やはり、若くして大人のショービジネスの世界で頑張って来たことで得たものがあるのではないでしょうか。例えば、私たちがドラマで描きたいコミュニケーション能力が生きているのだと思います」と推察する。

 チャンミカの登場はこの先も続く。

 宇佐川さんは「この作品は、結の物語に歩の物語が関与していくので、チャンミカの生き方をクローズアップする時も来ます」と話した。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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