「光る君へ」吉高由里子「孤独」な書道シーンへの覚悟「撮了より泣いたかも」利き手と逆の右手で1年半完走
スポニチアネックス / 2024年12月14日 7時3分
◇「光る君へ」まひろ役・吉高由里子インタビュー(1)
女優の吉高由里子(36)が主演を務め、まひろ/紫式部役に挑んできたNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は明日15日、ついに最終回(第48回)を迎える。クランクアップより泣いたというのが、利き手と反対の右手で筆を執り続けた書道シーン。吉高が1年半にわたる撮影を振り返り、舞台裏を語り尽くした。
<※以下、ネタバレ有>
「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石静氏がオリジナル脚本を手掛けた大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となった。
クランクアップ(10月25日)の数日後に行われたインタビュー。1年5カ月の長丁場を無事完走した吉高は、髪を茶色に染めて現れた。
「クランクアップの日が近づくにつれて、もちろん寂しさはあったんですけど、いざ終わると、黒髪のロン毛だった1年半の反動ですかね、(髪の色を)明るくしたくなって、アップした翌日に美容院に行きました(笑)。(かつらも使用した)平安時代の髪は重かったので(笑)」と気分転換したことを明かした。
最後に撮影したのは、まひろと道長2人きりのシーン。カットがかかり、OKが出ると、スタッフが1年半の軌跡をまとめたVTRが流れ「振り返ってみると、こんなにもあっという間だったんだな、と。寂しさもうれしさも安堵感もありました。その時は泣かなかったんですけど、チーフ演出の中島(由貴)監督から花束を頂く時、監督が号泣されていて、もらい泣き。凛としたまま終わりたかったんですけど、ダメでしたね(笑)」と述懐。
2~3日後に別の所用でNHKを訪れ「スタジオをのぞいてみたら、もうもぬけの殻になっていて、こんなにも余韻がないんだというぐらい空っぽで。前室(スタジオ手前の待機場所)もキャストみんなとの写真や視聴者の皆さんからのお手紙をたくさん貼っていたんですけど、それもなくなっていて、もはや知らない部屋。私たちの思い出が、青春が一瞬にして消えてしまった…と、それは寂しくなりました。(報道陣の“もののあはれですね”に)本当にそうですね」と笑った。
台詞覚えや書道シーンの練習など「この1年半は毎週、翌週に向けて週末に準備してきたので、ようやく宿題から解放されてホッとしている部分もありますけど、自分が向かっていく目標がなくなると、寂しいのも事実です」と“ロス”も吐露。吉高は左利きだが、当時の時代背景に沿い、右手に持った筆で文字を書けるよう、撮影の半年前から稽古を積み重ねた。劇中、まひろが「源氏物語」を書き進めるシーンなど、アップで映し出される手元の吹き替えはなしで完走。書道指導を務めた書道家・根本知氏も吉高の努力と上達ぶりを絶賛し、SNS上にも驚きの声などが相次いだ。
第45回(11月24日)、まひろは最終巻「夢浮橋」(第54帖)を書き上げ、ついに脱稿。「源氏物語」が完成した。第3部の主人公・薫君は想い人・浮舟から面会を断られる。
「小君(浮舟の弟)がいつ戻るのかと、お待ちなされていたのですが、このように訳の分からないまま帰ってきましたので、がっかりした薫の君は“かえってやらない方がよかった”などと様々思い“誰かに隠し置かれているのではないだろうか”と思い込んでしまわれたのは、自ら浮舟を捨て置いたことがおありになったから、とか、元の本には書いてあったのです」(心の声)
まひろは筆を置き、息を吐く。「物語は、これまで」(心の声)――。吉高にとっては、これが最後の書道シーンとなった。
「最後の書のシーンの終わりの方がクランクアップよりも泣いたかもしれません。やっと終わったという安堵感でいっぱいでしたし、何より書は孤独なんですよね。書の練習は1人でするものなので、演技と違って誰かと役の感情について話し合えるようなこともありません。うまく書けた時も、自分にしか分からない程度なので、喜びも分かち合えず、凄く寂しかったですね。ただ、孤独だった分、自分が上達したと感じられた時は、いいお芝居ができた時よりもうれしかったりしました。書のシーンはこの役の真骨頂、書のシーンがあってこそのこの役だと思ったので、今の自分にできる限りの最大限を出したい、そういう気持ちで取り組んできました。佑くんがずっと伸ばしてきた地毛を剃った出家シーンじゃないですけど、最後の書のシーンが終わった瞬間、私も何か削ぎ落とされたような感覚になって。クランクアップより、役をやり遂げた実感が込み上げてきましたね」
「もう一度、筆を執ることは?」の問いには、ヒロインを務めた14年度前期の連続テレビ小説「花子とアン」で翻訳家・児童文学者の村岡花子役、主演を務めた22年の特集ドラマ「風よあらしよ」で女性解放運動家・文筆家の伊藤野枝役を演じたとあり「NHKさんは私を物書きにさせがりますからね(笑)。もう書かないと思います(笑)」と冗談めかしながらも、それほどの覚悟で向き合っていたことを打ち明けた。
=インタビュー(2)に続く=
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