「光る君へ」劇中の月は異例の新撮「説得力」北海道でOB連日奮闘!最終回副題「物語の先に」に込めた思い
スポニチアネックス / 2024年12月14日 13時51分
◇「光る君へ」チーフ演出・中島由貴監督インタビュー
女優の吉高由里子(36)が主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は15日、15分拡大で最終回(第48回)を迎える。“平安のソウルメイト”まひろ(吉高)&藤原道長(柄本佑)の“特別な絆”を象徴したのが、夜空に浮かぶ月。劇中に登場した月の映像はほぼ、今作のための異例の撮り下ろし。チーフ演出の中島由貴監督にその狙いや、最終回のサブタイトル「物語の先に」に込めた思いを聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石静氏がオリジナル脚本を手掛けた大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となった。
平将門を主人公にした1976年「風と雲と虹と」に次いで大河史上2番目に古い時代が舞台。平安中期の貴族社会を題材にした大河は今回が初となった。
月を撮影したカメラマンは、23年にNHKを退局したOBでフリーの渡邊雅己氏。天体番組などに携わってきたスペシャリストで、現在は北海道在住。NHKスペシャルの海外取材を行うなど活躍している。職員時代から「光る君へ」の編集担当・石川真紀子氏と旧知の仲とあり、番組からのオファーを快諾した。
中島監督は「月の資料映像はあるのですが、ドラマの内容に呼応する月は、4K映像ではあまり種類がありませんでした。今回は月を見上げるシーンが多いので、新たに撮った方がいいのではないかと石川さんから提案があり、渡邊さんにお願いしました。日々変化する月を、渡邊さんが時間を縫って毎晩のように撮ってくださって。北海道の、人工的な明かりが届かない場所まで足を運んでくださり、月だけでなくや星空、空、雲までも、本当にありがたかったです」と経緯を明かし、感謝。
そのシーンにおける月の大きさなど、条件により一部はアーカイブ映像を使用したものの、道長が「望月の歌」を詠んだ第44回「望月の夜」(11月17日)ラストの望月(満月)など「劇中に出てくる印象的な月のほとんどは、渡邊さんの撮り下ろしです。満月・半月・雲がかかった月、様々なパターンの中から場面に合うものを選ばせていただきました。まひろと道長がお互いのことを想う、月を見上げるシーンがより美しく切なくなったのは、渡邊さんの月のおかげです」。第30回(8月4日)で安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)が雨乞いの祈祷をした夕方から夜にかけての星空なども、渡邊氏が時に「タイムラプス」(一定間隔で撮影した静止画をつなぎ合わせたコマ送り動画)を用いてカメラに収め、ドラマに説得力をもたらした。
毎回の副題は、制作統括の内田ゆきチーフ・プロデューサーから候補案。「この作品の最後ですから、やっぱり『物語』というワードを入れたいよね、という方向で一致しました。それに、最終回の後に続く未来を含んだニュアンスも欲しかったので、“の先に”を私が提案して。一瞬迷ったのは、私が担当した第20回(5月19日)のサブタイトルも“の先に”が付く『望みの先に』(藤原定子が落飾)だったことなのですが、半年前のことなので(笑)」と振り返り、副題の意味合いを明かした。
最終回にも“新撮の月”は現れるのか。そして、第45回(11月24日)で完成した「源氏物語」の先、「光る君へ」という物語の先にあるものは果たして。
◇中島 由貴(なかじま・ゆき)1992年(平成4年)、NHK入局。最初に東京のドラマ番組部に配属されて以降、一貫してドラマ制作に携わる。大河ドラマの演出は96年「秀吉」(1話分)、2012年「平清盛」(13話分)に続く3作目で、チーフ演出は初。19年度後期の連続テレビ小説「スカーレット」(チーフ演出)17年の土曜時代ドラマ「アシガール」(チーフ演出)など、数多くの作品を手掛ける。
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