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渡辺恒雄さん 「ワンマン」「暴君」イメージとはかけ離れた愛あふれる人間性 妻への深い思い

スポニチアネックス / 2024年12月19日 15時35分

渡辺恒雄さん(2002年撮影)

 読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄(わたなべ・つねお)さんが、19日午前2時、肺炎のため東京都の病院で死去した。98歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は長男睦(むつみ)さん。読売新聞グループ本社が発表した。プロ野球・巨人のオーナー、株式会社読売ジャイアンツ取締役最高顧問などを歴任し、日本球界の発展に寄与した。

 「ワンマン」「暴君」などと呼ばれることが多かった渡辺氏だが、そのイメージとは正反対の人柄も併せ持った。私生活ではハムスターなど小動物を飼育し、趣味はバードウオッチング。自宅の庭にえさ場を設け、野鳥が訪れるのを楽しみにしていた。

 また1990年代から2000年代には宴席の後に記者団から取り囲まれることが常だったが、長時間張り込んだ記者をないがしろにすることはなかった。「夜討ち朝駆けの経験があるから、苦労している記者には応えたい」との思いがあったからだ。顔見知りとなった記者に「キミは独身か?独身だったら、いい女性を紹介するぞ」と真顔で話しかけたこともある。

 1997年には前立腺がんが発覚。翌98年には全摘手術を受けた。その後の闘病生活を支えたのが大恋愛の末に結ばれた篤子夫人だったが、その篤子夫人は99年、脳出血に倒れるという悲劇に見舞われた。手術は成功したが渡辺氏は献身的に看病し「病室で妻の手を握り続けていた」と著書「わが人生記」に記している。

 その後、篤子夫人は奇跡的な回復を遂げたが2017年10月に死去。2005年に発行された同書の巻末には高村光太郎の「智恵子抄」から「人類の泉」という詩を引用している。最後の1行は「そしてあなたの内には大きな愛の世界があります」だった。

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