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鍵山 圧勝初V 全日本父子制覇「凄く気持ち良かった」来年3月世界選手権切符 日本の新エースへ

スポニチアネックス / 2024年12月22日 5時3分

全日本初優勝を飾った鍵山(撮影・小海途 良幹)  

 ◇フィギュアスケート全日本選手権第2日(2024年12月21日 大阪・東和薬品ラクタブドーム)

 男子は22年北京五輪銀メダルの鍵山優真(21=オリエンタルバイオ・中京大)がショートプログラム(SP)に続きフリーもトップの205・68点を出し、合計297・73点で初制覇を成し遂げた。90~92年度に3連覇した父・正和コーチ(53)と男子史上2組目の父子Vを達成。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場枠が懸かる来年3月の世界選手権(米ボストン)出場権を獲得した。SP2位の16歳、中田璃士(りお、TOKIOインカラミ)が合計263・99点で2位となった。

 全身全霊でフラメンコを演じた鍵山は、そのまま氷上に倒れ込んだ。「凄く気持ち良かった。出し切れたからいいかな、と思って(宇野)昌磨さんのまねをしてみた。全部出し切った」。非公認ながら自己ベスト208・94点に迫る高得点で、2位に33・74点差をつけての圧勝。10年の小塚嗣彦、崇彦以来の父子優勝の快挙だった。

 新時代の幕開けにふさわしい好演だった。冒頭の大技4回転フリップは出来栄え評価(GOE)で4・71点を引き出す完璧なジャンプ。4回転サルコー、4―3回転の連続トーループを次々と決め、後半の4回転トーループもこらえて降りた。「父から全力で戦ってこいと言われた。その闘志だけを燃やした」と振り返った。

 これまで五輪、世界選手権、全日本と銀が最高。世界の頂を狙うため、まずは「王者」の称号が不可欠と分かっていた。今季から父の勧めで一人暮らしを始め、徹底的に自分と向き合った。正和コーチの「一人で考え、消化する力を身につけてほしい」との願いもあった。それでも好不調の波が激しかった。

 勝ちながらもフリー5位に沈んだ11月のGPフィンランド大会後は2人でミーティング。父が珍しく、10分ほど一方的に叱責(しっせき)した。「(涙が)枯れるまで泣いた」と鍵山。父の思いも受け止めることで強くなれた。この日、父のうれし泣きを見て「自分が苦しんできた気持ちの壁も乗り越えられそう」と胸を張った。

 これまで羽生、宇野が12年間、君臨し続けてきた王座に就き「僕は第一歩として足を踏み入れることができた。ここからが勝負」と自覚を込める。次は来年3月の世界選手権。大技ルッツを加えたフリー4回転4種5本構成も視野に、世界王者への進化は続く。父も見た表彰台からの絶景を胸に刻み、名実ともに日本の新エースとして歩み出す。

 ≪父・正和コーチ涙「やっと世界を」≫いつもは冷静な父・正和コーチが、涙をこらえきれなかった。鍵山が演技を終えると右拳を握り、優勝が決まるとキスアンドクライで目を赤くした。「これ(全日本のタイトル)だけは絶対に獲ってほしかった。これに懸ける思いは優真以上にあった」と胸をなで下ろし「これでやっと世界を狙っていける。やっとリスタート」と語った。

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