【M-1】審査員顔触れ一新で変わった得点傾向 山田邦子に代わるキーパーソンは意外なツッコミ芸人
スポニチアネックス / 2024年12月22日 23時30分
漫才日本一を決める「M-1グランプリ2024」が22日、東京・六本木のテレビ朝日で開催され、令和ロマンの連覇という大会史上初の偉業で幕を閉じた。今年は審査員の顔触れが大きく入れ替わったことでも注目された。評価、採点傾向を分析した。
ファーストラウンド、トップバッターで登場したのは、昨年に続き令和ロマンだった。爆発的なしゃべくり漫才を披露。海原ともこの97点を筆頭に、全員が90点超えの高得点を付け、合計850点をたたき出した。採点は100点満点と決まっているため、1組目は今後の登場組とのバランスを図るため、得点が抑えられ気味な傾向がある。それでも、NON STYLE石田明は96点の高得点を付けた。「トップの出番で、この後(の組が)出てくるんで、本来付けにくいんですけど、これだけ無駄もなく、あるある題材にしながらも話術で落とし穴に入れられていく感じ。点数を入れざるを得ない」と説明した。
これで、早くも「令和ロマン連覇へ」の空気が醸成されていくかに見えた。ところが、他のコンビも本番用に仕上げたネタで追随。真空ジェシカ(849点)、エバース(848点)など、令和ロマンとそん色ない得点が続出した。さらにバッテリィズは、審査員の予期しない笑いを連発。861点で1位通過した。先頭の令和ロマンが物差しになり、後続にも高得点の組が続出。エバースは高得点にもかかわらず、あと1点で最終決戦進出を逃すなど、ハイレベルの大接戦になった。
審査員の顔ぶれと採点傾向も、勝敗を分けた一因だった。今年は全員が漫才師で、しかもM-1をはじめとした賞レースの経験豊富な面々が多数、名を連ねた。さらに昨年の7人から9人に増えたことで、競技用漫才の経験とスキル、センスが求められる下地が整っていた。一方で落語家やタレントなど、異業種からの参入は昨年に続きゼロだった。
厳しい判断を下された敗退組へのダメ出しも、漫才師ならではの技術的なものが多かった。ヤーレンズに対しては、アンタッチャブル柴田英嗣が「落とすところ落としてリズム変えてという感じだったけど。後半にもリズムが行っていて、どっちかというと緩急がなかった」と指摘。NON STYLE石田明も、ママタルトに対し「多くの人に笑ってもらうかの大会だと思っているので、そこまで得点は伸びなかった。もっと点数付けたいなと思うけど、ちゃんとM-1として見ると、もっとしっかりコンスタントに取って欲しい」と、注文を口にしていた。
昨年、一昨年と、審査員の中でキーパーソンになっていたのは、山田邦子だった。得点にメリハリを付け、高評価していても80点台を付けたこともあった。今年、それに近い役割を果たしたのは、意外にも柴田だった。10組中、80点台を付けた組は半数の5組。マユリカ、ママタルトに89点、ダイタク、ジョックロックに88点、さらにトム・ブラウンには87点という辛口だった。
山田は昨年、一昨年とも10組の得点差が11点と、メリハリを付けた評価をしていた。柴田はそれには及ばないものの、最上位と最下位の差が9人中トップタイの9点。高得点が続出する中で、抑えめの採点が続いた。ちなみに柴田の最高得点はバッテリィズの96点、2番手は令和ロマンの95点、3番手は真空ジェシカの94点。3組そろって最終決戦に進出した。
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