【単独インタビュー】松山英樹 25年さらなる飛躍へ 絶対王者シェフラ―に対抗心「どれだけ近づけるか」

スポニチ本紙のインタビューに応じた松山英樹（撮影・西尾　大助）

　男子ゴルフの松山英樹（32＝LEXUS）が23日までにスポニチの単独インタビューに応じた。24年は米ツアーで2勝を挙げ、アジア勢単独最多の通算10勝に到達、パリ五輪では男子ゴルフの日本勢で初めて表彰台に上がり、銅メダルを獲得した。充実の一年を過ごした松山は、世界ランク1位のスコッティ・シェフラー（米国）への対抗心もにじませ、間もなく開幕する25年シーズンへの抱負を語った。（取材・構成＝福永稔彦、中村文香）

　24年、松山は完全復活を印象づけた。序章は2月のジェネシス招待だった。首位と6打差の7位で出た最終日に62をマークし、大逆転で2年ぶりのツアー9勝目を挙げた。

　「4日間を通じてショットもパットも良い状態だった。最終日の1番のティーショットがあまりにひどすぎてキャディーと爆笑しながら歩いていたのを覚えている。それでリラックスできて良かったのかな。勝てていなかったので勝って自信になったし、シーズン初めだったので（その後は）自信を持ってプレーできるようになった」

　8月のパリ五輪では単独首位発進。最終日は4位でスタート。65で回り表彰台に上がった。前回東京ではプレーオフの末に逃した銅メダルを手にした。

　「（前戦の）全英まで良いプレーができていなかったけど、頭の中をリセットできて初日のスタートから良いプレーができてメダルにつながった。（最終日は）ボギーを1個でも打てば3位にも入れない状況だったので凄く難しかった。メダルを獲りたいと思っていたので良かった」

　その2週後のフェデックス・セントジュード選手権ではプレーオフシリーズ初制覇。アジア勢単独最多の米ツアー10勝に到達した。

　「もう少しやりたかったというのは当然あるけど2勝できてメダルも獲れたので良いシーズンだったと思う」

　昨年まで首痛に苦しんだ。今年も故障がなかったわけではないが、長期離脱もなく戦い終え「昨年、一昨年みたいに首の痛みがずっと続いたわけではないので助かった。腰、背中、手首が痛くなった時はあるけど慢性的な痛みにならず突発性で終わったので良かった」と話す表情は明るい。

　部門別成績ではエッジから30ヤード以内のショットのスコアへの貢献度が1位。リカバリー率は68・17％で2位。グリーン周りの精度は世界最高峰のツアーでもトップの成績を残したが「数値に表れるものと表れないものがある。（アプローチが）うまくなっている感覚もない」と意に介さない。

　グリーンを狙うショットの貢献度でも15位とハイレベルな数値を残した。ショットも復調しているものの「外れてもアプローチでパーを拾えたり、パー5ならバーディーを取れたりということが多かった。悪い時は悪い。良い時のショットは去年に比べれば良くなったけど振り幅が大きい」と安定感の不足に不満を示した。

　　現在、米ツアーの頂点に君臨するのがシェフラー。世界ランク1位、パリ五輪でも金メダルを獲得した。今季8勝で年間王者にも輝いた。それでも9月のプレジデンツ・カップではシングルスで直接対決し、下すなど決して背中が見えないわけではない。「総合点が高い。4日間通したら上に来るだろうなという感じ。何をやってもうまくいく。あのレベルでずっとプレーされると他の選手に勝ち目はない。そのレベルにどれだけ近づけるか。ああいうレベルでやりたい。どうすればいいのかと思いながら過ごしている」と対抗心をにじませた。

　10月からはスイング修正に着手した。11月のダンロップ・フェニックスは平均飛距離が4日間1位だった。「思ったより飛距離が出ていた。アイアンの飛距離が思ったより戻ってきていることも実感できた。そこは来季以降プラスになる」。首痛に悩まされた昨季まではアイアンショットが短くなる場面が度々見られたが、距離の誤差もなくなった。

　25年の戦いは1月2日開幕のザ・セントリー（米ハワイ州）から始まる。「来季は序盤に1勝できることが大事だと思う。（米ツアーで初優勝した）メモリアルももう一回勝ちたいし、他にも勝ちたい試合がある。それを1個ずつクリアしたい。もちろんメジャーもその中に入っている」。米ツアー11勝目、21年マスターズ以来のメジャー2勝目へ。新たなタイトルを目指し歩み続ける。