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日本ハム・栗山CBO なぜここに…カマキリに抱いた「違和感」の警鐘

スポニチアネックス / 2024年12月28日 6時2分

栗山英樹氏の直筆色紙

 侍ジャパン前監督の日本ハム・栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO=63)による連載「自然からのたより」は、今年を振り返り、違和感で気付かされた自然からの警鐘について。自宅のある北海道の栗の樹ファームで今秋、カマキリを見つけた。栗山町に来て24年目で初めて見る昆虫。そこにいるはずのないカマキリに抱いた違和感が、このままではいけないと教えてくれた。

 今年も残り少なくなって、栗の樹ファームはすっかり雪に覆われている。例年以上に雪の量が多く、もう除雪機を稼働させないといけなくなった。そんな銀世界の中、この一年を振り返ってみる。自然からいろんなことを学んだ中で今秋、ある違和感から気付かされたことがあった。

 ある日、栗の樹ファームにカマキリが現れたのだ。栗山町にやってきて24年目。カマキリを見るのはこれが初めてだった。町に住む昆虫に詳しい先生に聞くと、今年は10件くらいの目撃例があったという。北海道には、道南地域でオオカマキリという種類が棲息しているそうだが、栗山町では全く見たことがなかった。子供の頃に東京では普通に見られたが、栗山町にいるはずのない昆虫がいる。それも10月の末に。「へー、珍しいな」では済まされない違和感が心の中にあった。

 君子は幾を見て

 作(た)ち

 日を終うるを俟(ま)たず

 これは、古代中国の書「易経」にある言葉だ。その兆しがどんな結果をもたらせるかを知る者は、それを見たら直ちに動き、一日も待たない。そういうことを言っている。「時の書」ともいわれる「易経」は、全ては自然から学び、自然が人の生きざまを教えてくれるとしている。今秋にカマキリに抱いた「違和感」は、それこそ自然が教えてくれた兆しなのだと思った。

 これは、明らかに何か環境が変化していることのサインなのだろう。問題となっている地球温暖化とか、分かってはいるけど「これはまずいぞ」。そう体感させられた瞬間だった。さまざまな環境の変化には問題が起こる前にきっと兆しがあるはずで、それをみんなが意識していかないと手遅れになってしまうのではないか。「へー、カマキリだ」で済ませてはいけない。兆しは見ようとしないと見えないものでもある。

 昨年のWBCでは、一人でも気持ちが違う方向に向くだけでチーム全体のマイナスになると思い、全員に手紙を書いた。今の地球も同じ。兆しを人ごとにしてはいけない。自然がそうサインを送ってくれた一年だった。

 ▽カマキリ 昆虫網カマキリ目に分類される昆虫。全世界で約2000種と言われ、6本の脚のうち前肢が鎌状で、昆虫ファンには人気がある。一般的に北海道には道南地域に棲息するオオカマキリを除き、自然分布していないとされる。ただ近年は、本州から木材などにまぎれたりして移入したとみられるハラビロカマキリや、チョウセンカマキリなどが札幌ほか道内各所で見つかっている。

 ▽易経 儒教の経書の中で特に重要といわれる「四書五経」の一つ。「易経」は最も古い書とされ、万物の真理が書かれている。「時の書」ともいわれ、論語の中で孔子が「五十にして易経を学び直せば、人生に間違いはなくなるだろう」としており、多くの偉人が座右の書にする。自然の摂理と人間の関係が古来の経験からまとめられている。

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