米野球殿堂の投票者は少人数派と大人数派に分類される傾向 「大人数派」の記者が投票理由を説明
スポニチアネックス / 2025年1月1日 13時27分
米野球殿堂入りの投票では、BBWAA(全米野球記者協会)の投票資格者は年に10人まで投票できる。毎年の傾向を見ると、投票者は3、4人しか入れない「少人数派」と、ほぼ10人に入れる「大人数派」に分類される。ネットサイト「ザ・スコア」のトラビス・ソーチック記者は3年連続して10人に投票した「大人数派」だ。その理由を記事で説明している。
目指すのは客観性を保つことで、自分なりのプロセスを確立し、それを継続していく。プロセスが100%正しいとは限らないが、殿堂への門番として公平性と一貫性を重視する。同記者が最初に見るのは標準偏差。データのばらつき具合を示す統計的な指標で、過去に殿堂入りをした選手のOPS+、ERA+、WAR、WAR7(全盛期の7年間のWAR)といった数字をポジションごとに整理しておく。
新たな候補者がそれらの指標で、中央値から1標準偏差以上下回っていない場合、その選手は殿堂入りに値すると考える。1標準偏差は中央値(または平均値)からプラス・マイナス1標準偏差以内で、全体の約68%を占める。ちなみに2標準偏差だとデータの約95%が含まれる。OPS+、ERA+、WARを使うのはプレーした時代の違い、球場が成績に与える要因を調整するのに役立つからだ。
加えてWAR7を用いるのは選手のキャリア全体の実績だけでなく、ピーク時のパフォーマンスを重視する意図がある。同記者が大人数に入れるのは、近年殿堂入りが以前よりも狭き門になっていると判断しているため。1871年から1999年の間にデビューしたメジャーリーグ選手は1万7610人いるが、そのうち殿堂入りを果たしたのは1.56%の274人だった。
ちなみに1890年代、1920年代、1950年代にデビューした選手たちは2%以上の割合で殿堂入りしていた。それが1970年代や1980年代にデビューした選手たちは2%未満になり、1990年代の選手に至っては1%未満と下がってきている。
以上の理由でソーチック記者は今回も10人に投票した。イチロー外野手、CC・サバシア投手はじめ、ボビー・アブレイユ外野手、アンドリュー・ジョーンズ外野手、マニー・ラミレス外野手、アレックス・ロドリゲス内野手、チェイス・アトリー内野手、ビリー・ワグナー投手、カルロス・ベルトラン外野手、ダスティン・ペドロイア内野手だ。
通算3089安打のイチローについては、かつては殿堂入りの条件とされた3000安打を上回り、MVPと新人王を獲得。10年連続200安打、ゴールドグラブ賞受賞など文句の付けようがない成績を残している。2019年のマリアノ・リベラ氏に次ぐ史上2人目の快挙が期待されている。
同記者はキャリアで積み上げたWAR(60)は、殿堂入りしている右翼手の平均(73)には届かないものの、WAR7では、平均(43.2)を上回る(43.7)と指摘。キャリアWARが平均に届かないのはイチローがMLBに来たのが27歳と遅かったからだと解釈した。
一方で通算1805安打のダスティン・ペドロイア内野手にも投票した。通算成績(WAR)、ピーク時成績(WAR7)、OPS+の3つで二塁手として殿堂平均の1標準偏差以内に収まったからだ。加えてMVPと新人王を受賞し、ゴールドグラブ賞を3回、MVP投票でトップ10入りを3回果たした。ア・リーグで安打数で1度、得点数で2度首位となり、レッドソックスの中心選手としてプレーオフに6回進出。07年と13年のワールドシリーズ制覇に貢献した。安打数は少ないが、殿堂の価値があるとしている。
ラミレスとロドリゲスは薬物違反を犯したため、投票しない記者が多いが、MLBのルールでは、3回検査に失敗した選手が永久追放となる。両選手はそれに抵触はしていないため、OPS+、ERA+、WAR、WAR7の数値を10%削って、その上で十分な数字だったことを受け、殿堂入りに値すると判断した。
判断に難しさが生じるのは先発投手だ。近年では、先発投手が投げるイニング数が大幅に減少したことから、従来の目安である「通算300勝」などの達成が難しく、WARの蓄積も困難になっている。
そこでソーチック記者はキャリア全体の量に依存せず、WAR7、ERA+を重視している。今回は通算251勝のサバシアに入れた。おそらくサバシアには多くの記者が投票することが予想されるが、通算169勝のフェリックス・ヘルナンデスについてもWAR7、ERA+で1標準偏差以内であるため、再検討したいとしている。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
イチローが覆した日本人打者の概念「全て消し去った」 平均値下回るも…揺るぎない功績
Full-Count / 2025年1月3日 19時21分
-
イチロー氏と同時殿堂入り確実 CCサバシア氏がプレートに刻むチーム名を決定
東スポWEB / 2024年12月27日 15時44分
-
フィラデルフィアのベテラン記者が自身の米野球殿堂投票を公開!イチローが満票にふさわしいとする理由とは
スポニチアネックス / 2024年12月26日 9時32分
-
MLB公式 イチロー氏は100%殿堂入りと予想 55人の全専門家が投票 野手初の満票選出なるかに注目
スポニチアネックス / 2024年12月21日 15時38分
-
イチロー氏、満票へ好発進“20/20” 残るはわずか3人…直面する殿堂の狭き門
Full-Count / 2024年12月14日 14時56分
ランキング
-
1箱根駅伝の“超高速化”にOB驚愕「この時代じゃなくて良かった」 史上初の6区56分台が与えた衝撃
THE ANSWER / 2025年1月3日 19時33分
-
2イチロー氏&松井秀喜氏が激論…日本野球の“未来予想図” レジェンドがぶつけ合った本音
Full-Count / 2025年1月3日 17時0分
-
3日本では「たった6試合出場」 横浜で成功できなかった助っ人…米復帰も直面した壁
Full-Count / 2025年1月3日 8時11分
-
4異色の“投げる医師”くふうハヤテ・竹内奎人、背水の激白 今季ドラフト指名なければ選手引退「医学の道に専念」
スポーツ報知 / 2025年1月4日 7時0分
-
5清原和博氏 伝説の乱闘劇の裏側「着地した瞬間我に返った」 翌日謝罪も罵声「こら小僧!なめてんのか!」
スポニチアネックス / 2025年1月3日 20時37分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください