【王将戦12日開幕】藤井聡太王将特別インタビュー 目指すは大谷翔平ばりの変化「見習いたい」
スポニチアネックス / 2025年1月2日 5時31分
将棋の藤井聡太王将(22)=7冠=が挑戦者に永瀬拓矢九段(32)を迎えるALSOK杯第74期王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は12日、静岡県掛川市「掛川城二の丸茶室」で開幕する。藤井の3戦3勝で終わった昨年9月の王座戦以来のタイトル戦で、今回は初の2日制となる。藤井には谷川浩司十七世名人(62)と並ぶ通算27期、4期ぶり2度目出場の永瀬は初の王将位が懸かる。インタビューでは、藤井から大谷翔平投手ばりの「変化」への意欲が飛び出した。
ストイックな人だと思う。昨年、王将を含む7冠を防衛して叡王のみ失った。藤井の代名詞とも言える「勝率8割」と同様、昨年のタイトル戦成績7勝1敗も87・5%。それでも、一年納めとなった竜王防衛後の一夜明け会見で、「少しずつ変化を求めて指してます」と語った。
理由は「一局一局作戦を練るよりも自然に指して、という方針でやってきた。やはり後手番だと、それだけではうまくいかない」と感じたためだ。
普段の勉強法について、次の対戦相手を意識することなく、自身の関心に従って課題局面をしらみつぶしに調べて消化してきた。人ではなく将棋と向き合う。言うなれば、出題範囲の決まった定期テストを前にしても、来たるべき入試を見据えて出題範囲に制限のない実力テストの勉強を優先する受験生のようなイメージだろうか。
ところが後手番での指しにくさを一層実感するという。確かに棋界全体では昨年、女流も含めた勝率は先手54%、後手46%。藤井も22勝3敗で88%の先手番に対し、後手番では17勝8敗の68%。2割の差が生じた。
そこで変化を求める。特定の相手、状況をターゲットに作戦を毎回考えることの非効率性を自覚しながら、「それも選択肢にはあるかなと思う。そのあたりのバランスを見極めたい。長期的には、変化ではなく進化でないといけない」とも語った。対局がタイトル戦ばかりになり、相手が限定化されると有効な手法ということだろう。
現状に安住せず、変化を求める。その姿が大リーグ・ドジャースの大谷翔平を連想させる。投手を封印した昨季は本塁打数を44から54へ伸ばした以上に盗塁数が20から59まで増えた。「打者」「投手」に加えて「走者」の魅力を世界発信した。
「忙しい中でも睡眠をしっかり確保されたり、ご自身のことを凄くマネジメントされているのかなと思う。どんな状況でもベストを発揮できるのは見習いたい」
永瀬は今回の取材で、「藤井さんは大谷投手と対談すべきだ」と提言した。伝え聞いた藤井は「野球に関して知識がない」と苦笑いしつつも「試合に向けたトレーニング、準備をどういうイメージで行うのかというのは共通の課題。機会があれば伺ってみたい」。棋士には監督もコーチもいないとあって、変化の契機を求める。
7番勝負には谷川と並ぶ歴代5位の27期が懸かる。獲得スピードの証明だろう。「谷川先生の記録はもちろん知ってましたが、私自身の数字を把握していませんでした」。藤井は自身の26期を知らなかった。「今の時点でそのあたりを意識することはありません。棋士人生の最後に振り返りたい」。若き王者は視線を高く保っていた。 (筒崎 嘉一)
【藤井王将に聞く】
――24年は全タイトル戦が防衛戦になった初めての年?
「叡王戦で失冠してしまった。全体として、結果の面では少し振るわず課題が残った」
――最も印象に残った対局を理由を含めて教えてください。
「まず棋王戦第1局。伊藤匠叡王と持将棋になった。伊藤さんが持将棋を含めて研究していた。手応えに残った対局は王座戦第1局。自分自身経験の少ない形を選んでみた。一局を通してバランスを保って指すことができた。悔しかった対局は王位戦第2局、竜王戦第4局。一方的になる将棋があった。改善していかないといけない」
――課題は?
「内容的に波が大きかった。一方的、見せ場のない内容になった対局もあった。実力、コンディション的な面でも課題が残るところがあった」
――将棋以外で24年、印象に残ったこと?
「国内のことでいうと、物価の上昇率2%を上回る状況が続いていて、日本銀行が金利を引き上げたり。今まで低金利の状況で育ってきた。経済の情勢がどうなるのか、少し気にしてはいます」
――25年は東西で新会館が本格始動する。
「東西新会館での対局は楽しみ。新しい会館での対局やイベントを通じて愛着を持ってもらえるような存在になれれば」
――将棋と将棋以外、挑戦したいことは?
「将棋に関しては総合的な形勢判断力、未知の局面への対応力を磨きたい。その上で、今まで指してない戦型についても試す機会があれば。昨年、(王将戦の)記念品でフィットネスバイクをもらって少し自宅で動いていた。意識して運動しないとそういった機会も限られてしまう。引き続き意識して過ごしていきたい」
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