イチロー氏 マリナーズで現役引退を決めた理由「もう一度マリナーズを離れる選択肢はなかった」
スポニチアネックス / 2025年1月5日 23時24分
マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が、5日放送のBS-TBS特番「イチローVS松井秀喜~今だから話せる本音対談~」(後7・00)に出演し、現役引退にまつわる秘話を明かした。
1学年違いで、ともに日米球界を沸かせた、ヤンキースGM特別アドバイザー松井秀喜氏(50)と、レジェンド同士の対談。昨年9月に収録された。
オリックスでは7年連続首位打者という金字塔を打ち立て、01年にマリナーズへ移籍。同年と04年にそれぞれ首位打者に輝き、04年はシーズン262安打の驚異的なメジャー記録も達成した。12年のシーズン途中でヤンキースにトレードで移籍。その後、マーリンズにも所属したが、17年に事実上の戦力外になった。
マーリンズでは、かつてヤンキースでチームメートだったデレク・ジーター氏らの投資家グループがオーナーとなることが決まり、同氏から直接、翌年の戦力外を告げられたという。「ちゃんと球場まで(来てくれて)直接、面と向かって、“ここで来年からは(契約は)ない”と伝えてくれたの。すごいすっきりした」と打ち明けた。
「次に進むしかない。オファーがあるか分からないけど、待つしかない。キャンプも始まって、3月に試合が始まって、(オファーが)なかったら、けじめを付けないとなと思っていた。シーズンが始まってからじゃ遅いし、いつも自主トレをやっている神戸で、何人かの記者さんに集まってもらって、(引退表明の)話をする。ひっそりとだよね。そういう終わり方かもなと思っていたところに、マリナーズからオファーが来たんだよね」
12年のトレード移籍は、自ら志願したものだった。自分の意思で離れた球団から、復帰のオファーが届き、イチロー氏は感激したという。「僕から望んでトレードに出して(もらって)。当時とはGM(ゼネラルマネジャー)も違うけれど、自ら志願して出て行った人間をまた、戻してくれるんだ。それが凄くうれしくて。そんなの、どんな条件だって関係ないじゃない?チームが望むことなら何でもしたいって思った。これはもう、裏切れないと」。最後の恩返しを胸に、再び古巣のユニホームに袖を通した。
復帰後、かつてのような活躍は残せず、練習だけの日々も経験した。それでも、翌年には大仕事があった。「“翌年には東京(ドーム)で2試合、開幕が決まっているし、そこに出るチャンスはある。これで終わりじゃない”ということは、口頭だったけど伝えてもらっていた。そこからは遠いけど、やめる理由もないから、練習はできるし。いろいろ冷やかしはあったけれど、そういう耐性は持っているから、ごちゃごちゃ言われる耐性は結構高いので」。東京でのメジャー公式戦へ向け、モチベーションは高く保っていたという。
長いブランクは実戦感覚にも影響を及ぼし、19年のオープン戦では打率.080と低迷。その時点で、東京開幕戦以降の契約はないことを告げられたという。「じゃあ別のチームを探るかと言われると、まったくその選択肢はなかった。その時が、僕の引退の決断をする時だと思っていた。そこはすっきり、できるできないに関わらず、ここで僕は他のチームの可能性を探ることは、もう一度マリナーズを離れる選択肢はなかった」。メジャー生活の大半を過ごした古巣で現役にピリオドを打つことを決めたといい、日本球界復帰の選択肢も「まったくなかった」と断言した。
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