【新春インタビュー 広島・床田(2)】急失速した9月が配球の選択肢広げるきっかけに 家族の存在も支え
スポニチアネックス / 2025年1月6日 5時46分
広島・床田寛樹投手(29)が本紙の新春インタビューに応じ、2025年の漢字に「超」を選んだ。成績で(1)背番号「19」を受け継ぐ野村祐輔氏(3軍投手コーチ兼アナリスト)を超える(2)過去の自分を超える(3)大瀬良大地、森下暢仁両投手を超える――。初の開幕投手にも意欲を示す左のエースは「成績でチームを引っ張っていきたい」と言葉に力を込めた。(取材・構成 江尾 卓也)
(1)からのつづき
――急失速した9月。年末にあった契約更改の席でもっと気持ちを強く持っていれば”と振り返っていました。
「誰も(連敗を)止められなかったから、“頼む、止めてくれ”と思っていましたね」
――気持ちの切り替えができなかったのでしょうか。
「いや、僕はやっていたつもりです。前回はこういう気持ちで臨み、こんな結果だったから、次はこういうふうに…とか。みんなも同じだと思いますよ。でも、結果は変わらなかったですけどね」
――今季、9月に同じ状況を迎えたら経験を生かせる自信はありますか?
「ありますね」
――それが“もっと気持ちを強く”という発言につながったということでしょうか。
「はい。それと配球を変えると思います。配球にも経験を生かせると思いますね」
――具体的にはどういう点でしょうか。
「ピンチになった時に選択肢が凄く狭まっていたんです。後から振り返れば…の話ですけどね。それまでは、こういう攻め方があるし、あれもある、コイツはいいから次で勝負しよう…とか、いろいろ選択肢はあったんです。それがあの9月は、インコースにバーンと厳しい真っすぐをいったら、次はボール球で誘おう…という発想がなくて、インコースにいい球がいったら、次はもっと厳しいところに投げようとした。(捕手の)坂倉からそういうサインが出ると、僕もそれしかない!という頭で」
――なるほど。
「僕の技術不足でもあるんですけど、サンタナに3ランを打たれた時(9月19日、ヤクルト戦)も、内角に真っすぐをいって、インコースのカットボールをホームランにされているんです。ツーシームで良かったじゃん…とは、後から思った。お互い、余裕がなくなっていました」
――そのツーシーム。右打者は被打率が.190なのに、左打者は.333だった。原因はどこにある…と?
「一昨年は、左打者の被打率が低かったんです。データで見せてもらったんですが、その時はちゃんと(左打者の)インコース低めに動いていた。それが昨季に関しては、真ん中低めにいっているんですよ。それが要因だと思います。左打者は逆方向に(意識が)入るから、真ん中に入ると打てる。内角なら詰まるんですけど」
――そこの制球は練習で改善できるものでしょうか。
「やろうとしたんですが、できなかったですね。落ちも悪くなっていました。それは多分、カットボールを数多く投げたから。投げ方が逆なので」
――難しいですか?
「難しいですね。どっちかの球を磨けば、反対側に影響する。でも、戻る場所をちゃんと分かっていれば、また戻せる。それと、さっき言った真っすぐの平均球速を上げられれば、ツーシームも良くなると思いますよ」
――直球とツーシームの落ちは連動するということでしょうか。
「と思います。右足首を骨折した22年は、ツーシームが昨季より20センチぐらい落ちているんです。真っすぐをもう一回磨いて、平均球速を上げたら落ちてくれると思います」
――そこも、もろもろの成績を「超」える根拠になるということですね。キャリアハイを目指す中で、一番達成したいものはなんですか?
「うーん…獲れる可能性があるとしたら、(打線の)援護があっての最多勝ですかね。他力ですけど」
――3年連続で2点台(23年は2.19)だった防御率も、タイトルを狙えるのではないでしょうか?
「出来過ぎだと思いますよ。自分の中で、ちゃんとやれば2点台で終わるだろう…っていう謎の自信はあったんですけど(笑い)」
――もっと頑張ろう、高みを目指そう…という、やる気の源になっているものは何ですか?
「子供が生まれてから、いろいろ考えるようになったですね。僕一人なら何でもいいんですけど、家族ができて、子供が生まれてからは考える。残せるものは残していかないと。現役も、できるだけ長くやりたいと思うようになりました」
――もろもろの成績を「超」えて、チームを引っ張ってください。
「頑張ります」
=終わり=
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