藤井王将 全8冠奪還へ、まず一歩 叡王戦藤T1回戦で増田八段下した 新年初新会館初も対局は冷静沈着
スポニチアネックス / 2025年1月9日 5時2分
将棋の藤井聡太王将(22)=7冠=は8日、東京都渋谷区の新将棋会館で第10期叡王戦の挑戦者を決める本戦1回戦に登場し、増田康宏八段(27)を111手で下して2回戦に駒を進めた。
新年初の対局。新会館初の公式戦。タイトル戦の予選登場は523日ぶり。新鮮すぎる環境下でも藤井はいつもの藤井だった。「序盤から指したことのない展開。判断に悩む局面が多かった」と言いながら、振り駒で得意の先手を引き、戦型は慣れ親しんだ角換わり腰掛け銀。中盤に飛車角交換を経て徐々にリードを奪い、終盤は増田の入王を巧妙に防ぎ勝利を確定させた。
「一局を通し、集中して指すことができました。新会館は改めていい対局室になったと感じ、自分自身も集中して対局に臨めたかなと思います」
相手の増田には奇妙な縁がある。初対決は17年6月26日。デビュー以来、連勝を重ねていた藤井が29連勝を狙う竜王戦でぶつかり、100人以上の報道陣が囲む中で棋界の新記録を達成した。2度目の対決となった翌18年は同じ竜王戦で苦杯を喫している。だがその後はこれで5連勝。2月に開幕する棋王戦5番勝負でも対戦する相手にダメージを与える前哨戦ともなった。
昨年6月の叡王戦5番勝負で伊藤匠叡王(22)にフルセットで屈し、初の失冠を味わってから約半年が経過した。その叡王を取り返し、全冠奪還を期す第一歩だが「まだ挑戦を意識する段階ではないので、一局一局頑張っていきます」と、鼻息はまだ荒くない。
2回戦は木村一基九段(51)―戸辺誠七段(38)の勝者と対戦だ。その前に12日にはALSOK杯第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の開幕が控えている。(我満 晴朗)
▼増田 やってみたい作戦はできたが、中盤以降は力不足を感じた。藤井さんと角換わりの将棋を経験できたのは良かった。棋王戦ではもっと準備して、いい将棋を指したい。
▽叡王戦 前身はコンピューターと棋士が対戦する電王戦。17年からタイトル戦となった。現在の主催は菓子メーカーの不二家。5番勝負は例年4~6月に開催される。藤井は20年から3連覇した。最終予選に当たる本戦は16人によるトーナメント。1回戦を勝った藤井はあと3勝で挑戦権を得る。
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