阪神大震災から30年 阪神・嘉勢敏弘打撃投手「人ごとじゃないと思っていてほしい」
スポニチアネックス / 2025年1月17日 5時2分
震災から復興までの30年間は、阪神・嘉勢敏弘打撃投手(48)のプロ生活とぴたりと重なる。北陽(大阪、現関大北陽)のエースで4番として活躍し、94年ドラフト1位でオリックスに入団。プロの門をくぐった直後に尼崎市内の自宅で被災した。
「まだ高校の授業もあったので、神戸での新人合同自主トレには家から通っていた。16日も参加して、家に帰って寝ていた。ただ、慣れない環境でかなり気疲れしていたみたいで、地震でも僕だけ目が覚めなかった」
母親、弟と一緒に寝ていた部屋に大きなタンスがあり、それが自身の方へ倒れかけてきた。隣室にいた父親が、飛び起きて支えたことで事なきを得たが「死ぬ一歩手前やった」と振り返る。
新人合同自主トレは中止。「球団と連絡がついたのもだいぶたってからで、とりあえず自宅待機。2月のキャンプも自主トレみたいな感じだった」。前代未聞の形でプロ人生がスタートした。
現役生活では6年目の00年途中から外野手登録のまま投手転向。「元祖二刀流」としてインパクトを残した。ちょうど10年間で引退し、05年に阪神打撃投手に転身。昨年で20年目を終えた。関西球団一筋の30年。18歳の青年だった当時から、心のどこかに常に被災地への思いがあった。
「今の阪神の選手はほとんど生まれる前の話。東北の震災の方が印象があるだろうけど、地震はいつどこで起こるか分からないし、実際にここで起きた。人ごとじゃないと思っていてほしい」
毎年、この日が近づくと「もう何年目か」と思いをはせる。「生まれて一度も関西から出ていない」身として、語り継いでいく。 (山添 晴治)
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