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ソウル・フラワー震災イベント参加 30年前、被災者のために毎週演奏 名曲「満月の夕」に神戸っ子涙

スポニチアネックス / 2025年1月17日 17時54分

震災から30年の神戸・JR新長田駅前で熱唱する中川敬らソウル・フラワー・モノノケ・サミット

 ロックバンド「ソウル・フラワー・ユニオン」が30年前に阪神淡路大震災の被災者を元気づけるために結成したバンド「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」を再集結させて17日、兵庫県神戸市のJR新長田駅前でアコースティックライブを繰り広げた。当時を知る人やバンドのファンらが幾重にもなってバンドを囲み、その音楽に体を揺らした。

 30年前の2月10日、初めて被害のひどかった灘区で炊き出しとライブを行った。「売れてて顔の知られてるバンドならともかく、ぼくら全然売れてなかったので、初訪問したときの緊張はめちゃめちゃ大きかった」と振り返ったのはボーカル&ギターの中川敬(58)。「とにかく、お年寄りにも楽しんでもらえるように昔の流行歌や日本民謡、朝鮮民謡などを演奏しよう」とメンバーと避難所を訪れた。

 「最初は5、6人のおばあちゃんしかおらんかった。その次は2日後で、朝鮮民謡のアリランを演奏したらけっこう盛り上がってくれて。終わってから1人のおばちゃんがぼくの所にきてこう言ったんです。“私は家も夫も子供も失った。この辺はそんな人ばっかりで涙も出えへんかった。でもな、あんたのアリラン聞いたらな、泣いてもうたわ。あんた、頑張らなあかんで。”そう言ってバーンと背中を叩かれたのが忘れられへん」。

 バンドは毎週のように被災地を訪れ、炊き出しと演奏を続けた。その後も断続的に神戸の被災者を支え続け、仮設住宅の大半がなくなる数年間続いた。駅前には当時を知る高齢者の姿もあり、演奏中には涙をぬぐうかつての被災者の姿もあった。

 代表曲は「満月の夕」。あいみょんがカバーしたこともあり、中川は「SNSで、あいみょんが良い歌書いたなと思ってたら知らんおっさんの歌やった、というコメントを見たことがある」と自虐的に語ると集まった人から大きな笑い声。同曲は被災地で中川が見た情景が歌詞になっていて「ライブの後に空を見たら満月だったんです。それを見ながらみんなが、怖い、と言ったんです。1月17日が満月やったからね。その2日後に書いた」と振り返った。

 この日は時間ぎりぎりまで演奏。中川が「久しぶりに会えてうれしかった」とあいさつすると、大きな拍手が起きた。30年前、当時の被災者をなんとか元気づけようとライブをやり続けたバンドと、何も手につかず途方に暮れていたところに、歌に少しだけ勇気をもらった人々。30年の時を超え、歌がまた、ひとつにしていた。 

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