藤井王将 若手ホープの“最高勝率男”服部六段に完敗、朝日杯4強入りならず
スポニチアネックス / 2025年1月19日 17時27分
将棋の藤井聡太王将(22)=竜王、名人を含む7冠=が19日、名古屋市内で指された朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント順々決勝で服部慎一郎六段(25)に119手で敗れ、ベスト4進出を逃した。
羽生善治九段(54)に並ぶ最多5回目の優勝を目指し、2期ぶり奪冠を目指した本棋戦。タイトル保持者のため1次、2次予選は免除されており、この日が初戦。午前の1回戦で阿久津主税八段(42)を破り、順当に午後のこの一戦に駒を進めた。相手の服部は、今年度の勝率ランキング1位(対局数30局以上)に君臨する実力者。お互いに奨励会時代や一昨年のAbemaトーナメント(非公式戦)ではこれまでもあったが、プロになっての公式戦での対局はこの日が初めて。
棋界の第一人者VSその存在を脅かす若手のホープという注目の一戦は服部の先手で始まり、戦型は矢倉に。持ち時間各40分の早指しで、序盤から中盤までは互いに想定内だったのだろう。早い流れで時間をあまり使わず指し進める。だが、服部が攻め幅を広げようと7筋で歩を一手進めたところが想定外だったのか、藤井の手が急に重くなる。14分、7分と早指しでは痛い時間を相継いで使わされ、気がつけば服部がまだたっぷり31分も残している段階で、自身は1分将棋に追い込まれた。
現地の大盤解説に登場した阿久津が「これは服部さんの研究手順で間違いなし。藤井さんは嫌な空気を感じているはず」と語る厳しい展開。その後、服部の攻めをしのごうとあの手この手を繰り出すが、前に前にとおびき出された自玉がいつしか守り駒もなく、ポツンと盤のど真ん中、5五の地点に1人ぼっちになってしまう状況に…。その後も危機回避を図ろうと腐心するが事態は好転せず、最後はあきらめたように静かに投了を告げた。
終局後は公開対局に駆けつけた地元・愛知のファンらを前に、ぼう然とした表情で天井を見上げながら「バランスを崩してしまうところが多かった」「こちらの玉が安定しなくて」と次々に反省の弁。その上で服部について「押し切られてしまった。実力を感じる一局だった」と素直に完敗を認めた。
この後は第1局で終盤の大逆転勝利を収めた永瀬拓矢九段(32)とのALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社主催)の第2局(京都・伏見稲荷大社)を25、26の両日に控える。この日負った敗戦ダメージからの、立て直しが求められる。
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