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平幕・尊富士 1敗死守 年内大関獲りへ兄弟子照ノ富士が助言「体を動かしてからいけ」

スポニチアネックス / 2025年1月20日 4時47分

尊富士(右)が北の若を押し倒す(撮影・篠原岳夫)

 ◇大相撲初場所 8日目(2025年1月19日 両国国技館)

 優勝経験のある平幕・尊富士が北の若を押し倒して1敗を守った。9日目には日大の先輩で、この日玉鷲を破った平幕・金峰山と初対戦する。綱獲りに挑む大関・豊昇龍は正代に押し倒され2敗目。金峰山は8連勝で勝ち越して単独トップに立ち、1差で平幕・千代翔馬と尊富士が追う展開となった。

 5度の突きで豪快に押し倒した。勝負あった後、土俵下で苦悶(くもん)の表情を浮かべ、車椅子で運ばれる北の若。尊富士は右肩に左手を置き、さらに土俵を下りて声をかけた。支度部屋では「大丈夫かな?」と気遣った。土俵でのたけだけしさとは一転、取組後に見せる優しさ。それこそが、昨年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を達成した尊富士の魅力だ。

 北の若には昨年初場所、十両対戦ではたき込みで敗れた。幕内での初顔合わせで、2年越しのリベンジを達成し「1年あれば体重も増える。特に振り返ることはせず、落ち着いていこうと思った」。22年秋場所の前相撲からスタートした力士人生とは思えない貫禄を漂わせた。

 兄弟子の横綱・照ノ富士が17日に引退。入門先に伊勢ケ浜部屋を選んだのは、度重なるケガや病気を乗り越え横綱に上り詰めた「生き方が心に響いた」からだ。この日の朝稽古後も「ストレッチ感覚で体を動かしてからいけ」と言われ、快勝につなげた。

 初優勝した昨年春場所もそうだった。勝てば優勝の14日目に右足首のじん帯を損傷。車椅子で花道を引き揚げ、救急搬送された。自身は「歩けなくてダメだと思った」というが、部屋へ戻ると兄弟子から「お前ならできる」と激励され、豪ノ山を押し倒す“奇跡”の千秋楽へつなげた。

 きょう9日目は日大の1学年先輩で、唯一全勝の金峰山に挑む。勝ってさらに勢いづけば、来場所の三役、年内の大関昇進も視野に入る。「結果を残すことが恩返しになる」。照ノ富士への思いを胸にあと7日間、戦い続ける。

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