王鵬“血染め”の2敗死守 首位と1差接近で初V視界「血は出るけど痛くない」
スポニチアネックス / 2025年1月22日 4時32分
◇大相撲初場所10日目(2025年1月21日 東京・両国国技館)
平幕・王鵬が玉鷲を寄り切って勝ち越し、2敗を守った。西前頭3枚目からの新三役、そして大関・琴桜に続く祖父、父、自身の3代三役昇進へ前進した。3大関は安泰。平幕単独トップの金峰山は小結・阿炎に突き落とされて初黒星を喫したが、単独首位は変わらなかった。1敗の金峰山を平幕の王鵬、千代翔馬、尊富士が1差で追っている。
計5度、額同士でぶつかった。突き押しに徹し、40歳で現役を張る玉鷲に24歳も負けていない。王鵬が一度は押し込まれたが、左を差して踏みとどまると右上手を引いて寄り返した。「血は出るけど痛くない。癖になっています」。右額にできた赤く血のにじんだすり傷が勲章のようだった。
「自分の思った感覚で当たれたと思います。これを続けていかないといけない」
元横綱・大鵬の孫にして元関脇・貴闘力の三男。元横綱・琴桜―元関脇・琴ノ若(佐渡ケ嶽親方)―大関・琴桜に続く3代三役へ前進した。西前頭2枚目だった昨年秋場所は前頭上位に大勝ちが多く、9勝しながら翌九州場所では東前頭筆頭で据え置かれた。6勝止まりでまたも壁を越えられなかった悔しさをぶつけている。
実は秋場所7日目の取組で右目付近の眼窩(がんか)を骨折した。気遣う師匠の大嶽親方(元十両・大竜)に「全然、大丈夫ですよ」と応じて15日間を完走した。
師匠がちょうど「上へ上がろうと、意識が変わってきた」と感じていた時期。突っ張って先手を取る取り口の習得に励み、弟弟子を指導する姿も多く見受けられるようになっていたという。「その辺の気持ちが凄い」。今年秋場所で65歳の定年を迎える師匠はうなった。
単独トップの全勝・金峰山が敗れたことで1差に接近した。昨年九州場所で初優勝した琴桜の次は自分。既に上位戦を終えている。「負けが込むまでは狙ってます。毎場所狙ってます」と意欲を隠さない賜杯へ、大器が目覚めの時を迎えた。
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