【内田雅也の追球】歴史も“伝統も”の自覚
スポニチアネックス / 2025年1月22日 8時1分
甲子園球場の球場長代理で歴史館担当の湯山佐世子が「おほめの言葉をいただいて……」と喜んでいた。21日、大阪・梅田のホテルで開かれた甲子園歴史館運営会議。外部有識者の掛布雅之は「僕らの時代とは違い、素晴らしい活動をしている」とたたえた。
昨年11月、阪神OB会長に就任した掛布は同会議に初出席だった。活動報告で歴史館の実に多様なイベントやファンサービスの内容を聞いた。昨年は甲子園球場100周年でもあり、その歴史を掘り下げ、光をあてる企画が相次いでいた。
掛布は「阪神は歴史も伝統もあるチームになってきたなと感じました」と言った。この言葉の持つ意味は深い。
かつて掛布は「阪神に歴史はあるが、伝統はない」と痛烈な言葉をかけられていた。1979(昭和54)年2月10日、前年からの「江川問題」で阪神に移籍してきた小林繁が大阪・梅田のホテル阪神で入団発表を行い、キャンプ地の高知に入った。宿舎の手結山(ていやま)観光ホテルで夕食後、歓迎会となった。
選手会長・江本孟紀から「コバ、一言あいさつを」とうながされ、小林が発したのが先の「阪神に伝統はない」だった。
掛布は「僕らからすれば“何言ってんの?”となるよね。悔しかった」と反感を抱いた。江川卓との対談をまとめた『巨人―阪神論』(角川書店)で振り返っている。
小林の言う「伝統」の意味を掛布は「勝利への執着心」と受け取った。岡田彰布もシーズン中「巨人の選手は試合前にひげをそる。阪神は試合後にそる」という小林の話を聞かされていた。戦力はあるのに勝ちきれない状態が続いていた。
では今、昔と比べ何が変わったのか。一昨年のリーグ優勝、日本一など勝てるチームになった。今は常勝を目指す。
さらに球場や歴史館、球団が懸命にファンサービスに努めている。先人への敬意と歴史の継承に重きを置く姿勢が見える。
「伝統」を新明解国語辞典(三省堂)で引けば<前代までの当事者がして来た事を後継者が自覚と誇りとをもって受け継ぐ所のもの>とある。問題は自覚と誇りなのだ。
球団創設90周年を迎えている。他球団がいくら金を積んでも買えない財産が、阪神にはある。それが歴史である。歴史を重んじ、磨き、受け継ぐ姿勢、それが伝統だろう。 =敬称略= (編集委員)
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