【届け!思いの丈(上)】東洋大姫路 出身の岡田監督により威厳を取り戻した「TOYO」
スポニチアネックス / 2025年1月22日 6時3分
第97回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が24日に開かれるのを前に、スポニチでは「届け!思いの丈」と題し、注目の出場候補校を3回にわたって紹介する。初回は昨秋の近畿大会を制して3年ぶり9度目の出場が確実視される東洋大姫路(兵庫)。履正社(大阪)を率いて19年夏の甲子園優勝に導いた岡田龍生監督(63)が、低迷していた母校を再建させるまでの道のりに迫る。
岡田監督は母校からの就任要請を「予想もしていなかった」と回想する。高校卒業後は母校との縁もなく、87年に25歳の若さで履正社監督に就任。当時部員11人しかいなかった無名校を全国屈指の強豪校へと押し上げた。
無我夢中で駆け抜けた監督業も60歳となる21年秋で退くと決めていた。一方、母校の東洋大姫路は「ユニホームを見れば、相手がおじけづいて点が入る」といわれた甲子園常連校の風格が消え、低迷期に入っていた。同校は再建を託すべく、岡田監督に就任を懇願。東洋大関係者との交渉の席が設けられた。
しかし、一度は就任要請を断った。年齢や単身赴任などを考慮すれば、ハードルの高すぎる依頼だった。それでも2度目の話し合いで熱く説得され「大学側の熱意が伝わった」と要請を受諾。「本気で取り組むと分かってもらうためには、施設を充実させるべきだ」との提案を学校側も受け入れ、トレーニング室が完備された総工費1億円超の室内練習場を新設するなどして改革へ歩み始めた。
22年4月の指導初日に「日本一を目指す」と選手に伝えた。名将の赴任を知った有力中学生は次々と同校進学を希望し、23年入学の現2年生に逸材がそろった。さらに最新器具の並ぶトレーニング室が屈強な選手の育成に一役買った。そして、最速147キロ右腕の阪下漣(2年)らを中心に昨秋の近畿大会を優勝。監督就任3年目で母校を聖地に戻すことを確実にした。
「ここまで順調に進むとはね…」。名将の想像すらもはるかに超える早さで、「TOYO」の威厳を取り戻した。 (河合 洋介)
▽東洋大姫路 1963年(昭38)4月に東洋大の付属校として創立され、開校時に硬式野球部を創部。甲子園には69年夏に初出場し、直近の22年春まで春夏通算20度出場。77年夏には初優勝を飾った。主な卒業生には弓岡敬二郎(元阪急)、長谷川滋利(元オリックス、マリナーズなど)、松葉貴大(中日)、原樹理(ヤクルト)、甲斐野央(西武)らがいる。
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