イチロー氏 史上初日米W野球殿堂入り 日本選手＆アジア人初の米殿堂入り「クーパーズタウンへようこそ」

2007年の球宴でランニング本塁打を放つマリナーズのイチロー外野手（AP）

　米国野球殿堂は21日（日本時間22日）、今年の殿堂入りメンバーを発表し、今月16日に日本でも殿堂入りを果たしたイチロー氏（51＝マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター）が日本選手初の殿堂入りを果たした。アジア人としても初の選出となった。ヤンキースなどで活躍したC.C.サバシア氏（44）、アストロズなどで活躍したビリー・ワグナー氏（53）も選出された。

　発表の際、日本語で「日本のファンの皆さま、日本人初の野球殿堂入りを果たした鈴木イチロー選手を発表できることを光栄に思います。イチロー選手、クーパーズタウンへようこそ」などと歓迎のコメントも読み上げられた。

　イチロー氏はオリックス時代に張本勲氏（本紙評論家）と並ぶNPB最多7度の首位打者の実績をひっさげて2001年に日本選手初の野手の大リーガーとしてマリナーズに移籍。メジャー1年目に大リーグ新人最多の242安打を放ち、新人王や首位打者、盗塁王、MVPなどに輝いた。

　その後、2010年までシーズン200安打、打率3割、球宴出場、ゴールドグラブ賞を10年連続で達成。卓越した外野守備も高く評価され、強肩を誇った送球は「レーザービーム」、マ軍での本拠地セーフコ・フィールドの右翼は背番号をもじって「エリア51」と呼ばれた。

　2004年には84年間破られなかったジョージ・シスラーの記録を抜き、大リーグ新のシーズン262安打をマーク。2度目の首位打者に輝いた。2009年に張本勲の日本記録3085安打を抜き、日米通算で最多記録を更新。マーリンズ時代の2016年にはピート・ローズの大リーグ最多4256安打を日米通算で抜いて「世界一」に。同年8月7日のロッキーズ戦で大リーグ史上30人目の通算3000安打を達成した。

　マリナーズに復帰した2019年3月に現役引退。大リーグ通算成績は2653試合で打率・311、117本塁打、780打点、509盗塁だった。イチロー氏は今月16日、競技者表彰のプレーヤー部門で日本野球殿堂入りを果たしていた。日本でも満票選出の期待が高まっていたが、得票率は92.6％だった。

　▽米国野球殿堂の選出方法　競技者部門の選考対象はメジャーで10年以上プレーし、最後にプレーしてから5年以上経過した選手。全米野球記者協会に在籍10年以上の記者が成績、品格、チームへの貢献度などを考慮して投票し、75％以上得票で殿堂入り。選考期間は10年間で得票率が5％に満たなければ翌年の対象外となる。会員投票とは別に、選考委員が時代別に功績を残した選手らを選ぶ方式もある。

　◇イチロー（本名・鈴木一朗＝すずき・いちろう）1973年（昭48）10月22日生まれ、愛知県出身の51歳。愛工大名電では2年夏、3年春の甲子園に出場。91年ドラフト4位でオリックス入団。94年に登録名を「イチロー」に変え、当時日本記録のシーズン210安打で首位打者＆MVP。01年からはマリナーズ、ヤンキース、マーリンズでプレーし、マリナーズに復帰して迎えた19年3月21日にアスレチックスとの開幕第2戦（東京ドーム）の試合後に現役引退を表明。06、09年WBCで世界一。現役時は1メートル80、80キロ。右投げ左打ち。