「ドジャースが常に最終目的地だったわけでない」佐々木朗希の代理人が“密約”改めて否定 交渉過程を語る

入団会見を見届けた佐々木朗希のウルフ代理人（撮影・杉浦　大介通信員）

　ロッテからポスティングシステムを使いドジャースとマイナー契約を結んだ佐々木朗希投手（23）が22日（日本時間23日）、ドジャースタジアムで入団会見を行った。佐々木の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏がメディアの取材に応じ、交渉の過程を語った。

　ウルフ氏はドジャース入団にあたり、何が最も魅力的だったかと問われ「本当に難しい質問だ」とし「ご存知の通り、彼は寡黙な人柄。プライベートの時間もそれは同じだ。すべてを考えた結果だと思う」と佐々木の総合的な判断とした。

　そして「文字通り20チームから選ぼうとした」と20球団からオファーがあったとし「対面した8チームから絞り込むのは私たち全員にとって非常に困難なプロセスだった」と説明。「彼は常にすべてのチームに公平で客観的な競争の場を提供しようとし、検討した。状況全体を見て、最終的な決断を下した」と語った。

　その上で「まずドジャースが常に最終目的地だったわけではないと思う」と当初からド軍との“密約”があったのではと報じられていたが、これを改めて否定した。

　ここ数年、頻繁に来日しているウルフ氏の印象として大谷、山本の加入でドジャースというチームが日本で身近な存在になったと指摘。また、大谷、山本とWBCで同僚だったことはドジャースの助けになったと思うかと質問が及ぶと「悪くは働かなかったはずだ。おそらく少し安心したと思う。それによってドジャースには日本人選手をうまく引き受けられる能力があるということが彼に分かったのだろう」とした。

　ただ、「“大谷と山本がいるから、そこに行く”といったような考えが決定要因だったとは思わない」とも付け加えた。

　ドジャースはこの2年で3人（大谷、山本、佐々木）の日本人選手を獲得していることから、アプローチに日本人選手を惹きつける理由があるのか、それぞれの選手次第かという質問には「選手は皆、自分自身の視点や生い立ち、育った環境を通して世界を見ている。山本由伸と朗希がドジャースを選んだ理由はまったく違うと思う」と語った。

　また、ドジャースを選んだ理由にデータの使い方があるのかと問われると「間違いなくデータではない。朗希はデータよりも感覚と個人的なコミュニケーションを重視する。ドジャースで一番印象に残ったことは何かと彼に尋ねなければなりません。彼は個人的なつながりを感じたのだと思う」とした。

　佐々木は「一次面談」をした8チームに「（昨季は）自分の球速がなぜ落ちたのか」と“宿題”を与え、分析を求めたと報じられているが、ウルフ氏は「彼自身の素晴らしいアイデア」と佐々木からの提案だったと説明。「その詳細な宿題のおかげで、チームの側も彼が何を聞きたいのか非常に明確な考えを持つことができた」とした。

　続けて「それまで、チームは何を話せばいいのか、彼が本当に聞きたいことは何なのかを思案していた。おかげで彼に失礼になることがなく、チームが彼の欠点について話す許可を与えることにもなった」と佐々木の現時点での“課題”を各球団が指摘しやすくなったとした。

　ウルフ氏は「誰もがご存じの通り、ロウキは完成品ではない。山本が来たときの立場とは違い、成長し、学ぶべきことがたくさんある」と佐々木が成長途中であると認め「彼は、自分を助けるために何ができるか、日本にいる間に何がうまくいかなかったと思うか、一緒にどのように成長していけるか、とチームに尋ねていた。それこそが意思決定プロセスの大きな部分であり、私たちが会ったほとんどのチームはそれが自分たちの専門分野だと信じていた。多くのチームがあなたは非常に優れた投手で、才能があるが、私たちはあなたをさらに良くするつもりだと伝えていた」と各球団とも熱心に佐々木を調べ、さらに成長するための方法をプレゼンテーションしてくれたと感謝した。

　そして、ドジャースとともに最終候補の3球団に残ったパドレス、ブルージェイズについて「素晴らしい売り込みとプレゼンテーションを行い、爪痕を残した。私たちがトロントを去ったとき、私は彼がトロントに行くことを選ぶと感じた。サンディエゴを去ったときにはサンディエゴを選ぶかもしれないと感じた」と両球団とも佐々木にとって魅力的だったとし「最後は本当にコイントスだと思った。彼が最終的に“よし、ドジャースだ”と言うまで、私には彼が何と言うかまったく分からなかった」と佐々木が3球団のどの球団を選ぶか想像が付かなかったとした。