柿谷曜一朗 かつての「問題児」が目指す「文化人」 笑いと涙の引退会見で「幅広く活動して…」
スポニチアネックス / 2025年1月24日 6時3分
J2徳島に所属した昨季限りで現役を引退した元日本代表FW柿谷曜一朗(35)が23日、古巣C大阪の本拠地、ヨドコウ桜スタジアムで記者会見し「若いころは問題児。この年まで続けてこられてびっくりしている。お世話になった方に少しでも感謝を伝えたい」と感慨を語った。C大阪の下部組織から06年に16歳でJ1デビューを果たした天才は、涙あり笑いありの会見でセレッソ愛を語った。
浮き沈みの激しいサッカー人生だった。16歳でプロ契約し、U―17W杯・フランス戦の50メートル弾で世界を驚かせた柿谷。順風満帆なスタートに見えたが、遅刻癖は直らず、09年にはC大阪を追われた。J2徳島への期限付き移籍を経て、12年にC大阪に復帰して以降、才能が花開いた。
背番号8を背負った13年は21得点を挙げて日本代表入りも果たした。「あの年マジでちゃんとしてたら、80得点25アシストくらいしないとおかしいのに20点ですから」。ジーニアス(天才)と称されるにふさわしい活躍だったが、当時は天才と呼ばれるのを嫌っていたという。「やめてくれというのが本音。普通のプレーでミスしたときのダメージがでかいから」と笑った。
質問がサポーターの話になると、思わず涙をこぼした。名古屋移籍後にC大阪と激突した21年のルヴァン杯決勝。「どんな顔をして入場したらいいのか。でも、あるサポーターの方から“曜一朗はセレッソの曜一朗。おまえのことが楽しみなだけやから”と言ってもらえて気持ちが楽になった」と感謝した。
J3相模原などからオファーがあったものの「新しいステージに挑戦してみたい気持ち」が上回ったという。今後に触れ、「サッカー系文化人として幅広く活動していければ」と明かした。タレントの妻・丸高愛実とともに活動するプランもある。「きょうが新しい柿谷曜一朗のスタート。今後ともよろしくお願いします」。かつて問題児といわれた希代のゴールハンターはすがすがしい表情で会見を締めくくった。 (千田 篤史)
<柿谷と一問一答>
――全82ゴールで一番記憶に残っているゴールは?
「金鳥スタジアムの群馬戦(16年)で決めたゴールは、C大阪のサポーターの記憶に残っているんじゃないかなと思う。名古屋時代にヨドコウで決めたゴールも、サポーターとしては悔しくて、記憶に残っているのでは」
――家族に伝えた時は?
「“パパ、サッカー辞めるねん”と言ったら、大喜びして“ずっと家にいてくれるってこと?”と言っていた。それを言われた時に、ごめんという気持ちがあった。妻も10年間地元を離れて良い時も悪い時もそばで支えてくれた」
――C大阪の8番を背負った。
「森島さんから始まり、C大阪の8番は簡単につけられる番号ではないので、すごく光栄」
◇柿谷 曜一朗(かきたに・よういちろう)1990年(平2)1月3日生まれ、大阪市出身の35歳。4歳からC大阪の下部組織で育ち、06年にクラブ史上最年少の16歳でプロ契約。09年に徳島へ期限付き移籍し、12年にC大阪復帰。W杯ブラジル大会出場後の14年夏にバーゼル(スイス)に完全移籍し、16年にC大阪復帰。21年から名古屋で2年間プレーし、23年から徳島へ完全移籍。夫人はタレントの丸高愛実。国際Aマッチ18試合5得点。1メートル76、68キロ。利き足は右。
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