東洋大姫路が3年ぶり選抜出場 履正社で19年夏Vの岡田龍生監督が母校で聖地へ帰還

センバツ出場を喜ぶ東洋大姫路ナイン（撮影・中辻　颯太）

　第97回選抜高校野球大会（3月18日から13日間、甲子園）の出場32校を決める選考委員会が24日に大阪市内で開かれ、昨秋の近畿王者・東洋大姫路（兵庫）が3年ぶり9度目の出場を決めた。履正社（大阪）を19年夏の甲子園優勝に導いた岡田龍生監督（63）は、母校監督として初めて聖地に戻る。組み合わせ抽選会は3月7日に行われる。

　東洋大姫路の岡田監督は、伝統ある母校のユニホームを着て吉報を聞いた。「このユニホームで甲子園に出られる。初出場のような気持ちです」。選抜出場を祝い、オールドファンが準備した特大のくす玉も割られた。それほどに県内屈指の人気と期待を背負う中、母校の後輩でもある選手たちに訓示をした。

　「いち先輩としては、頼もしい後輩だ。よく頑張ってくれた。明治神宮大会で優勝できなかった借りは甲子園で返す。選抜で全国優勝を目指せるだけの取り組みをしていこう」

　履正社を19年夏の日本一に導いた名将が、22年4月に監督として母校に戻ってきた。同校は、11年夏を最後に甲子園での勝利から遠ざかっていた。77年夏に全国制覇の「TOYO」の誇りが薄れゆく中、入学希望の選手に「甲子園出場が目標ではない。日本一を目指して来てほしい」と求めた。そして就任3年目の昨秋に近畿大会優勝。あっという間に母校を聖地に戻した。

　部員68人の中に甲子園とゆかりのある選手がいる。最速142キロ左腕の末永晄大（こうだい＝2年）の祖父・正昭氏は、NPB通算231試合に出場した元阪神選手だ。チーフスカウトとして藤川球児（現阪神監督）の指名も決断した。孫は現役時代の祖父の写真を見て野球を始め、幼少期から虎党として甲子園に通った。中学時代は無名だったが、岡田監督に潜在能力を見いだされたという。「ここに来て間違っていなかったです」。入学から球速を10キロ以上伸ばし、祖父も立った聖地への切符を手にした。

　同校も岡田監督も選抜優勝の経験はない。同監督にとっては、木内幸男監督（取手二、常総学院）以来2人目の異なる2校での甲子園春夏優勝を懸けた選抜になる。「履正社時代の経験を考えても全国でやれる力はある」。末永に加え、エース右腕・阪下漣も安定感抜群で、投手力は全国トップクラス。聖地に戻り、母校の完全復活を告げる。（河合　洋介）

　≪異なる2校で春夏聖地Vなら2人目≫

　○…東洋大姫路・岡田龍生監督は履正社（大阪）を率いた19年夏に続く指揮2校目での全国制覇に挑む。過去、異なる2校を率いて優勝したのは原貢監督（65年夏・三池工、70年夏・東海大相模）、木内幸男監督（84年夏・取手二、01年春・常総学院）、上甲正典監督（88年春・宇和島東、04年春・済美）、吉田洸二監督（09年春・清峰、23年春・山梨学院）の4人。異なる2校で春夏の甲子園優勝なら、木内幸男監督以来2人目となる。

　○…プロ注目の最速147キロ右腕・阪下漣（2年）は、聖地での150キロ到達を目標に掲げた。「目標の150キロを出して優勝に導きたいです」。大会屈指の好右腕で、昨秋近畿大会では防御率0・33（27回2/3、1失点）で優勝の立役者となった。明治神宮大会では横浜との準決勝で11回3失点（自責1）の完投負けを喫しており、「選抜で再戦できるのであれば、やり返したい」と雪辱を期した。

　◇岡田　龍生（おかだ・たつお）1961年（昭36）5月18日生まれ、大阪府出身の63歳。現役時代は東洋大姫路で3年春に選抜4強。高校卒業後は日体大、鷺宮製作所に所属し、85年4月から桜宮（大阪）のコーチに就任。87年4月から履正社の監督に就任し、19年夏に日本一を達成するなど22年3月の退任まで春夏13度甲子園に出場して通算22勝。同年4月に母校の東洋大姫路監督に就任。保健体育科教諭。

　◇末永　晄大（すえなが・こうだい）2007年（平19）6月10日生まれ、兵庫県西宮市出身の17歳。小学1年から段上西グリーンファイターズで野球を始めて主に外野手。中学では宝塚ボーイズに所属して投手に本格転向。東洋大姫路では2年夏に背番号14でベンチ入りし、同秋は背番号10。50メートル走6秒5、遠投90メートル。1メートル76、79キロ。左投げ左打ち。