中村俊輔氏「選手権は野球でいう甲子園」 高校時代の“妄想”が“創造”につながった
スポニチアネックス / 2025年1月29日 5時2分
【月刊中村俊輔 1月号】横浜FCの中村俊輔コーチ(46)がサッカーの魅力を語り尽くす「月刊中村俊輔」。1月号のテーマは年末年始の風物詩「全国高校サッカー選手権」。桐光学園時代に2度出場し、高校3年時の第75回大会で神奈川県勢初の準優勝を飾った同大会を振り返った。(取材・構成 垣内 一之)
「自分の時代(約30年前)は全国大会と言えば、夏のインターハイ(総体)と(全国高校サッカー)選手権しかなかった。だから選手権は野球でいう、甲子園みたいな感じだった。大会に懸ける思い、プレッシャー…。3年生は負けたら引退だったから、重圧もあった」
11年にJクラブユースと高体連がしのぎを削るリーグ戦が発足したが、それまで両者が交わる機会はほとんどなく、俊輔氏にとって選手権は、積み重ねた努力を発表する貴重な晴れ舞台だったという。
初出場は高2の第74回大会。「チームは負けたけど、(自分のプレーには)手応えはあった。1学年上の先輩たちを1回戦で負けさせてしまった申し訳なさはあったけど、その時点での力を測れたゲームだった」
1回戦で優勝候補の東福岡に1―2で敗れはしたものの、この一戦がきっかけにもなり、その後の成長につなげられた。
「もっと良かったのは、1回戦負けなのに、その後に高校選抜に入れたこと。国内合宿をやって、ドイツ遠征ではインテル・ミラノやドルトムントと試合ができた。試合にはあまり出られなかったけど、感じたことをサッカーノートにいろいろ書いた。凄く刺激になった」
そうして努力を重ね、将来のスター候補として注目の的となった俊輔氏。3年時は各クラブへの練習参加が続く日々を送っていたこともあり、周囲の騒がしさには意外に「何とも思わなかった」という。
そして迎えた第75回大会。「大会中はずっと体調が悪かった。発熱して点滴を打っていたしね。決勝も全然、動けなかったしきつかった。試合が終わっても気持ち悪くて、“あー、終わった”という感じだった」
結果は残念ながら、FW北嶋秀朗擁する市船橋に1―2で敗れ、準優勝。それでも選手権を含む高校3年間の経験は、大きかったという。
「体も含めて一番成長した時期。努力の仕方、努力の報われ方。こうやったら自分のレベルが上がるというコツを得た。自分自身をコーディネートする感じ。(当時の)佐熊監督は規律もしっかりしていたけど、自主練は自由にやらせてくれた。それも大きかった。だからプロに入っても、それを続けるだけだった。高校時代に一番伸びたのは、創造性。フェイントを増やしたり、運ぶドリブルや抜くドリブルとか、高校時代は妄想しまくってたよね」
こうして礎をつくり、横浜Mでは井原、川口ら先輩からも多くを学びながら、スターへ階段を駆け上がっていった。今後の選手権でも、俊輔氏に続くスターの誕生に期待がかかる。
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