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社会人野球・四国銀行 野球と社業の両立がモットー 早朝5時30分からの自主練習で練習時間を捻出

スポニチアネックス / 2025年1月30日 17時30分

早朝5時半から自主練習に励む四国銀行の野手陣(提供写真)

 1台の工事現場用ライトが、暗闇のグラウンドにたたずむ12人の男たちを浮かび上がらせた。1月のある日。野手陣の自主練習として、早朝5時30分から6カ所に分かれてのティー打撃が始まった。白い息を吐き出しながら、黙々と繰り返されるバットスイング。夜が明ける頃には投手陣も集まり、午前7時から3時間にわたって全体練習を行った。練習を終えると、急いで身支度を調える。それぞれが気持ちを切り替え、午後からは営業などの業務に励んだ。

 高知市内に拠点を置く四国銀行野球部は、野球と社業の両立をモットーに掲げる。現在の部員は兼任コーチも含めて18人。春からは新卒の3選手が加わる。正真正銘の少数精鋭部隊。今年から主将を務める大北海斗内野手(26)は言葉に力を込める。

 「時間も環境も限られてはいますが、やはり練習量も必要です。夜は仕事の残業などもある中でどこで時間を捻出するかとなると、朝しかない。そこは工夫しながら野球に取り組んでいます」

 火、水、木曜日は午前7時から全体練習を開始。週初と週末にあたる月、金曜日と月末は全体練習は行わず、終日勤務となる。これが2大大会の予選、本戦の直前を除く通年のタイムスケジュール。強化期間にあたる1、2月は冒頭に記した“超早朝”の自主練習に打ち込む。

 就任2年目となる亀岡洋介監督(40)が率いるチームとしての今季の目標は、2大大会では初めてとなる4強進出だ。20年の都市対抗では1929年の創部以来初の8強に進出。昨年の都市対抗でも初戦で東邦ガスを7―3で下した。大北主将は言う。

 「昨年は真っ向勝負でぶつかり、1勝することができた。四国代表として戦えるという自信にもなりましたが、野手も投手も上に行くにはもっと力が必要。ベスト8を超えられるようしっかり練習したいと思います」

 勝たなければいけない理由がある。野球部員の大半は営業店に所属。法人、個人とさまざまな得意先を回る中、顧客から多くの励ましを受ける。主軸を務める本店営業部の大谷雄志外野手(25)もその一人。昨年、都市対抗を終えて高知県へ戻ると、自身を取り巻く周囲の反応の違いに気づかされた。

 「取引先にお邪魔しても、これまでお話することのなかった方から、“おめでとう!”とお声がけしていただくことが多々ありました。だからこそ、全国に出るだけではダメで、勝つって大事なことだと改めて知りました。僕らはお客さんと近い存在で地域に明るいニュースを届けなければならないと考えています」

 もちろん、両立は簡単なことではない。明徳義塾(高知)、拓大を経て入社した大北は入社1年目、これまでとは激変した環境に苦しんだ。87キロあった体重は5キロ減。業務に追われ、十分なトレーニングを積むこともできなかった。試合でも思うような結果を残せなかったが、3年目を迎える頃には「考え方を変えて。量も意識しながら、質も大事にして」と意識改革に成功。練習中は1球、1球への集中力を高め、夜はジムに通ってトレーニングの不足分を補った。現在は旭支店に所属。二足のわらじを履く日々は生ぬるいものではないと同時に、これ以上ないやりがいを感じるという。

 「地方銀行ということで、地域のお客様に信頼されなければならない。その中で、高知県、高知市の名を少しでもPRしていきたいですし、我々が頑張る姿をお見せすることで、応援してくださる方々に恩返しできればと思います」

 野球を頑張るから、仕事も頑張れる。仕事も頑張るから、野球も頑張れる。野球と仕事の両立で人間力を高めることが、ライバルと戦う上で唯一無二の武器となるに違いない。練習を終えた大谷は生き生きとした表情で、言葉をつないだ。

 「二刀流と言いますか。そこはプライドを持って。どちらも必死にやらないと一流にはなれない。野球では目標の全国4強にふさわしいプレーヤーを目指しますし、銀行員としては現役の間に知識、実績を積んで一般行員の方々に負けない営業成績、信頼を勝ち取りたい」

 ユニホームとスーツをどちらも完璧に着こなす銀行マンたちが、野球王国・高知の歴史に新たな一歩を刻む。

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