MLB 野球賭博の規定違反で審判員を解雇 友人が担当試合で賭博 水原事件を契機にした調査で判明

野球賭博に関する規定違反で大リーグ機構から解雇されたパット・ホーバーグ氏（AP）

　大リーグ機構（MLB）が野球賭博に関する規定に違反したとして審判員のパット・ホーバーグ氏（38）を解雇したと、米スポーツ専門局「ESPN」のジェス・ロジャース記者が3日（日本時間4日）に報じた。

　ロジャース記者は自身のXで「MLBの速報によると、審判員のパット・ホーバーグ氏は野球に賭ける友人と賭け口座を共有していたため解雇されたが、ホーバーグ氏自身が試合に賭けたり、自分が出場した試合を操作したという証拠はない。また、彼はMLBの調査の中心となるメッセージを削除した」と投稿した。

　ホーバーグ氏は昨年6月に野球賭博に関する規定違反が判明して大リーグ機構から懲戒処分を受けていたが、異議を申し立てていた。大リーグ公式サイトは「MLBによる彼の行動に関する調査では、彼が野球に賭けをした証拠や、試合の結果を操作するために何らかの行動を起こした証拠は見つかりませんでした。しかし、MLBは、ホーバーグが野球に賭けをしたプロのポーカープレイヤーであり友人の男性と、合法的なスポーツ賭博アカウントを共有し、その友人とのメッセージを削除することでMLBの調査を妨害したことから、ゲームの健全性を維持することができなかったと判断しました」と伝えた。

　ホーバーグ氏の解雇を受け、大リーグ機構のロブ・マンフレッドコミッショナーは「スポーツ賭博に関するMLBの規則を厳格に施行することは、私たちにとって最も重要な優先事項である。ファンのための試合の健全性を保護するために不可欠です。広範な調査の結果、ホーバーグ氏が直接野球に賭けをした証拠や、彼自身またはその他の人が試合を操作した証拠は発見されませんでした。しかし、彼が野球に賭けたと信じる理由があり、実際には共有アカウントから野球に賭けたプロのポーカープレイヤーと賭博アカウントを共有した彼の極めて杜撰な判断と、彼がメッセージを削除した行為は、少なくとも不適切な印象を与え、最も厳しい処分を下す正当な理由となります。したがって、野球のゲームの健全性を維持し、高いレベルの個人的な行動規範に従うことに失敗したホーバーグ氏の解雇を維持する正当な理由があります」との声明を発表した。

　また、ホーバーグ氏は規則に準拠して、ホーバーグ氏は2026年の春季トレーニング開始まで、復帰を申請することはできない。また「本日、MLBが発表した声明に詳述されているように、マンフレッドコミッショナーは、私が『高いレベルの個人的な行動規範に従い、野球の健全性を維持することに失敗した』ことを理由に、私の解雇を維持しました。私は本日発表された声明に示されている判断ミスについて、全責任を負います。それらの間違いは、私にとって常に恥ずべきことでしょう。MLBの審判は、高いレベルの個人的な行動規範が求められますが、私の行動はその基準に達しませんでした。しかし、明確にするために言いますが、私はこれまで野球に賭けたことがなく、今後もいかなる形であれ野球に賭けることはありません。私は野球に賭ける目的で、誰かに情報を提供したことはなく、今後も提供することはありません。ゲームの健全性を維持することは、常に私にとって最も重要なことでした。私は私の過ちに対して、MLBと野球界全体に謝罪します。私はこれから、過ちから学び、より良い自分になることを誓います」との声明も発表した。

　大リーグ公式サイトは「ホーバーグ氏の直接賭けのほとんどは、フットボール、バスケットボール、ホッケー、ゴルフでした。彼のデバイスから野球に賭けたことはありませんでした。しかし、彼の友人のデバイスは、2021年から2023年にかけて141回野球に賭けており、その中にはホーバーグが審判を務めたか、またはリプレイレビューの責任を負った5試合に対する8回の賭けが含まれていました。調査とそれらの試合の分析では、ホーバーグの判定が友人の賭けによって影響されたことを示すパターンは見つかりませんでした。それらの試合に対する賭けの平均金額は、その人物が他の野球に賭けた金額と同等であり、それらの8つの賭けはすべて利益を生みませんでした」と伝えた。

　また、同サイトは「2014年にメジャーリーグの試合で初めて審判を務め、2017年にフルタイムの審判になりました。彼は2018年から2022年まで毎年ポストシーズンゲームで審判を務め、2023年にはワールドベースボールクラシックでも審判を務めました。彼は特に2022年のワールドシリーズの試合（第2戦）で、サイトUmpire Scorecardsが（ストライク、ボールの判定のミスがなかった）パーフェクトゲームと判定したことから、ボールとストライクの判定で最も優秀な審判の一人として広く知られていました」などと経歴も伝えた。

　ホーバーグ氏は2017年にメジャーの審判員に昇格。昨春キャンプ中に調査対象となり、昨季の試合から外れていた。大リーグではドジャース・大谷の通訳だった水原一平被告による違法賭博事件などを契機に調査が進められていた。