選手は理学療法士や柔道整復師の「たまご」 異色の帝京科学大を率いる相良光紘監督「野球が実習になる」
スポニチアネックス / 2025年2月5日 22時51分
アマチュア野球の監督に采配やチーム運営などについて、インタビューする「監督の思考法」。第1回は、今春から関甲新学生野球リーグ2部に参戦する帝京科学大の相良光紘監督(44)。同校は生命環境学部、医療科学部、教育人間科学部の3学部があり、野球部員の多くは理学療法士、柔道整復師などの国家資格取得を目指す異色のチームだ。(聞き手・柳内 遼平)
20年のスポニチ入社以来、アマチュア野球担当一筋。ドラフトを賑わせる選手が多く在籍する東京六大学野球リーグや東都大学野球リーグを中心に取材を重ねてきたが、帝京科学大のようなチームを見るのは初めて。野球部ウェブサイト内にあるメンバーの所属学科には「作業療法学科」、「理学療法学科」、「柔道整復学科」などと並ぶ。つまり、全員が理学療法士や柔道整復師の「たまご」ということだ。
「まだ達しているとは言えませんが、国家資格の取得に向けた勉強と野球部の両立に挑戦しています。“僕は絶対にプロ野球選手になりたいです”という子ではなくて、資格取得に向けて勉強する学生たちに野球をプレーできる環境を提供したい。資格があることを人生の強みにした上で、生涯スポーツとして長く野球ができる礎をつくりたいという思いがあります」
確かに中学、高校、大学とカテゴリが上がるにつれ、競技のレベル、専門性は増す。サークルではなく、1部にはドラフト候補もいる関甲新学生リーグを戦う本格的な野球部となれば覚悟もいるため、「資格を取りながら野球も」という発想にはなりにくい。野球人口減が進む中、「資格取得勢」にもプレーする場を与えることに新たな意義を見いだしている。
部員は1年生33人。4月には約20人の新入生も加わる見込みだ。「授業が最優先」と平日は午前8時から午前9時までの全体練習のみで勉学を疎かにしない。「できる失敗は学生のうちに経験した方がいい」と野球、勉強以外にアルバイトなどに時間を使うことを勧めている。土日は朝から昼までの半日練習。相良監督は短期集中型の練習を掲げる。
「意識を高く持って効率を重視したい。僕自身、高校の指導者の時は“数をやりましょう”と朝から晩までやっていました。ただ、ここでのイメージはマラソンではなく、100メートル走。100メートル走は“短いから楽”じゃなくて、走り終えた後に倒れるくらい100メートルを走り抜けようと。その感覚で短い時間での練習をやりきれるか。あくまで理想ですけど、そのイメージで練習をやりましょうと伝えていますね」
福岡の強豪校として知られる福岡第一では部長を務めた相良監督は強度、意識の高い練習を知っている。高校時代の実績が乏しい選手が多数のチームだが、意外にも指揮官はプラスに捉えていた。
「高校時代に良い思いをしていなくても、野球部に入ってきた子たちの良さがある。大学に鳴り物入りで進学した選手でも全員が活躍するわけでもない。。それでも推薦で入った以上、辞められない選手だっている。大学生になれば自分である程度の立ち位置や流れも分かるわけです。逆に言うと、ウチの選手はいつでも辞めて勉学に専念していい環境にいる。やらなくてもいい野球を自分からやっている情熱、モチベーションがある。逆にもうちょっと勉強に情熱を燃やせよというくらい(笑い)。凄く熱量はありますね」
他にも帝京科学大の選手にしかない強みがある。選手が理学療法士や柔道整復師の「たまご」であるため、専門的知識を生かして「日本一ケガに強い野球部」を目指すことも可能だ。
「練習がある意味、実習になりますね。そのためにアップは各自に任せています。彼らが一番、教室で体のつくりを学んでいるのだから実践して周囲にもシェアしてもらいたい。知識を生かして学生トレーナーも出てきてほしいですね」
いよいよベールを脱ぐ春季リーグ戦を迎える。相良監督は目を輝かせて言った。
「彼らは高校時代に良い思いができなかった子が多い。それでも大学でも野球がやりたいという思いを持っている。とにかく野球の楽しさを前面に出してほしい。全くの未知数ですが、彼らは1年間(公式戦が)できなかった思いをぶつけられる。本当に楽しみです」
◇相良 光紘(さがら・みつひろ)1980年(昭55)5月3日生まれ、福岡県粕屋町出身の44歳。福岡大大濠では内野手としてプレーし、専大では3年から学生コーチを務めた。大学卒業後は福岡第一で部長を務めるなど野球部の指導にあたり、専大熊本玉名では監督を務める。23年4月に帝京科学大の監督就任。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
帝京科学大野球部を支える栗原未来マネジャー 父は日大三野球部&母は関東第一マネジャーの超野球一家
スポニチアネックス / 2025年2月5日 19時59分
-
帝京科学大が関甲新学生リーグ2部に参戦 盛岡大付出身の厚海倖哉主将「結果を残したい」
スポニチアネックス / 2025年2月5日 18時5分
-
【国立大学法人筑波技術大学】名誉卒業生称号授与式・講演会の開催(視覚障害柔道・半谷静香選手)
PR TIMES / 2025年1月17日 11時15分
-
新宿を繋ぐスポーツの力! クリアソン新宿2025シーズン新体制発表&学生・選手トークセッション開催
PR TIMES / 2025年1月14日 15時15分
-
『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:支える人(帝京高・大橋藍)
ゲキサカ / 2025年1月10日 19時8分
ランキング
-
1八村塁 4本の3P含む20得点!3戦連続20得点超えの大暴れ レイカーズはLA対決制して3連勝
スポニチアネックス / 2025年2月5日 14時22分
-
2【カーリング】女子で波乱!昨年VのSC軽井沢ク、6度Vの中部電力が1次L敗退
スポニチアネックス / 2025年2月5日 16時28分
-
3豊昇龍「横綱昇進」めぐる元NHKアナ私見にファン反応 「藤井さんに完全同意」...横綱審議委員会「全会一致」疑問視
J-CASTニュース / 2025年2月5日 12時1分
-
4“過小評価”ヌートバーは「バットを振るだけで怪我」 米指摘した欠点…覚醒の“条件”
Full-Count / 2025年2月5日 20時28分
-
5ニールセン新体制のなでしこジャパンメンバーが発表! 長谷川唯や熊谷紗希など主軸に加え、籾木結花は4年半ぶり招集【2025 SheBelieves Cup】
超ワールドサッカー / 2025年2月5日 17時7分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください