【内田雅也の追球】「凡事徹底」の手本
スポニチアネックス / 2025年2月9日 8時1分
◇紅白戦 紅組5―1白組(2025年2月8日 宜野座)
二塁走者は2死で打者のカウントが2ストライクと追い込まれると、「ストライク・スタート」を切る。
二塁走者からは投手の投球コースがよく見える。ストライクだと判断すれば走り出す。凡打でも三振でも3死で攻撃終了となるからだ。
少しでも早く進塁、または本塁生還を狙うわけだ。小さなことである。多くの場合は無為に終わる。それでもチームへの貢献を示す定石である。
沖縄・宜野座で行われた阪神キャンプ初の紅白戦。この小さな努力を繰り返していたのが、原口文仁だった。
2回表、先頭打者として左翼フェンス直撃の二塁打を放った。凡飛2本で2死二塁となった。
打者・井坪陽生のカウント2ボール―2ストライクから、投手・門別啓人が投げると原口はスタートを切った……ファウル。投げた……走った……またファウル。投げた……走った……打った……平凡な中飛……原口は三塁を回ったところで速度を緩めた。
原口は3球連続でスタートを切っていた。愚直と言えば失礼だ。やるべきこと、それも誰でもできることを実践したまでだと言うだろう。ただし、この試合で他に「ストライク・スタート」の局面は2度あったが、いずれの走者も走り出していなかった。
監督・藤川球児がテーマに掲げる凡事徹底である。原口は32歳とはいえ、若手が多いチームにあってはベテランだ。キャンプの練習も2軍中心の具志川組にいる。それでも1、2軍合同の紅白戦で手本を示したのだ。
近年の原口は代打が主な役割だ。そして出塁すれば、多くは代走と交代する。足は速くない。
「それでも僕が走者で残ると結構、ホームに還ることが多いんですよ」と語っていたと本紙記者に聞いた。「それに僕が走っていると、ベンチが盛り上がるんです」。分かる気がする。懸命な姿に心を動かされるのだ。
凡事徹底はカー用品チェーン「イエローハット」の創業者、鍵山秀三郎の言葉である。毎日毎日、掃除をやり続け、成功を手に入れた。
著書『凡事徹底』(致知出版社)で成果をあげるには<気づく人になること>。その方法として<微差、あるいは僅差の二つをいつも追求し続ける>、そして<一歩踏み込んで人を喜ばせる>ことだと説いている。
なるほど、原口の姿勢である。 =敬称略= (編集委員)
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