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ホークスOB北野良栄 競輪界で花を咲かせる ガールズケイリンの岩崎ゆみこと8日に結婚

スポニチアネックス / 2025年2月12日 7時1分

競輪選手として17年目に突入した北野。今年からS級に復帰と奮闘中

 【あの人に逢鷹(あいたか) ホークス戦士のその後】約3分間の戦いに全神経を集中し、ペダルを踏み込む。2002年から5シーズン、ホークスに在籍した北野良栄(41)は競輪選手として活躍している。2年ぶりに最上グレードのS級に復帰して奮闘中。“メカゴジラ”と呼ばれたプロ野球選手時代の思い出を振り返りつつ、新たな環境でのスタートにもなった競輪人生17年目に懸ける思いなどを語ってくれた。 (本間 正則)

 1月から最高峰のグレードであるS級(その中でもS班、1班、2班に分類され、北野は2班)に復帰した北野。22年10月に競走中に転倒。左鎖骨を粉砕骨折した。「野球をやっていた頃は自打球が一番痛いと思っていたけど、その比ではなかった」と苦笑いしながら振り返る。その影響もあって低迷した時期もあったが、昨年はA級で年間6度の優勝。グレードレースに出走可能なS級に返り咲いた。

 競輪は「ほとんど知らなかった」が、実は見えない糸で結ばれていた。ホークス時代に同僚投手の専属トレーナーが元競輪選手と親しく、沖縄で合同合宿したことがあった吉本亮さん(現ソフトバンク・プロスカウト)のトレーナーが千葉県の競輪選手も見ていたりと、いろいろな縁があった。ホークス戦力外後に「数人から誘われて」一念発起した。

 「野球は振れば打てるし、投げればいい。自分は競輪には向いていないと思う。野球が10だとしたら、競輪のセンスは3とか4くらい。それでも頑張ればある程度はいける。向いていないけど、競技性としては助かっていますね」

 自転車競技未経験でゼロからのスタート。野球とは違い、脚力の勝負がメインでオフもほとんどない。しかも競輪は朝9時までに始まるモーニング、デイ開催、ナイター、夜の11時台まで行われるミッドナイトと、さまざまな時間帯でレースが行われる。

 「疲れていても性格的に休めない。休養も大事だけど、ほぼオフなしが理想なんです。モーニングで早い出番の時は5時に起床して6時からアップを開始したりもする。いろいろな時間に慣れるまでは苦労した。でも持ち場、持ち場でやっていくしかないのでね」

 持ち前の明るさであっけらかんと話す。未経験でセンスがなくても努力で最高峰のクラスまで駆け上がった。そこにはホークス時代の経験も生きているようだ。

 「高卒でプロ野球界に足を踏み込んで、簡単にできていたこともできなかったり、思うようにいかないということを目の当たりにして、かなりつまずいた記憶があります。振り返ってみればプロ野球選手になったことに満足してしまったのだと思う。そこでの挫折を糧にマインドセット一つでかなり変わることを思い知った。競輪選手になった時に、同じ失敗はしないようにと思っていました」

 千葉支部の選手に指導を受けた関係で千葉籍でデビュー。「いずれは地元に帰ると思って」愛知に移籍し、今年1月から茨城支部に移籍。私生活でも変化があった。茨城支部所属のガールズケイリンレーサー・岩崎ゆみこ(29)と、岩崎の誕生日だった今月8日に結婚。競輪選手生活17年目で“ニュー北野”元年でもある。

 「毎日をムダにせず結婚して良かったと思ってもらえるように結果も出して、2人で楽しい日々をつくり上げていきたい。茨城は若手でも強い選手がたくさんいるし、練習環境がいい。まだまだ諦める年齢ではないし、かみ合えばもっと強くなれると思う」

 かつて“メカゴジラ”と呼ばれた男は野球界での挫折をバネに、第二の人生となった競輪界で花を咲かせている。その物語は、まだまだ続きがありそうだ。今後の活躍にも注目していきたい。

 〇…競輪場は全国に43カ所ある。選手は出場が決まると、各場へ行ってレースをする。競輪選手について「結果に対してうれしいっていう感情はあるが、楽しいと思ったことはない。稼げるけど危険もある」と話す一方で「全国を回れるし、トータルすればいい職業だと思います」。昨年12月には九州でレースをする前に、元ホークスの田之上慶三郎さんが経営するカフェ「イトシマッコ」に立ち寄った。「凄く優しい先輩でしたね。ホークス時代以来だったのでうれしかったです」。プロ野球時代にお世話になった先輩との旧交を深めた。

 ◇北野 良栄(きたの・よしはる)1983年(昭58)10月13日生まれ、金沢市出身の41歳。小学1年から野球を始めて、星稜中1、3年時に軟式野球大会で全国優勝。星稜高で通算37本塁打を放ち、01年ドラフト5位でダイエーに入団。06年限りで引退し、競輪選手の道へ進む。95期生として09年1月デビュー。09年3月の伊東で初優勝を飾り、13年8月の大宮でS級初勝利。通算成績は1585走で305勝、2着235回、3着163回。優勝回数は30。1メートル83、血液型B。

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