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“みにくいアヒル”のユ・アイン、白鳥になったストーリー

THE FACT JAPAN / 2015年8月20日 17時12分

俳優ユ・アインが、最近公開された映画「ベテラン」で見せた素敵な悪役演技で好評を博している。|ナム・ユンホ記者

アンデルセンの童話「みにくいアヒルの子」を見ると、柔らかくて白い毛を持つ赤ん坊のアヒル達の間にグレー色のアヒルが一匹登場する。グレー色でつやもなく、みすぼらしい外観で醜い子にされるが、一方では、違う色の毛で白いアヒル達の間でも目立って見える。
俳優ユ・アイン(28、実名:オム・ホンシク)はそのような面でアンデルセン童話の「みにくいアヒルの子」と似ている。本人が意図していなくても、他の俳優たちには見られない「生」のままのラフさや自由奔放な姿があり、“俳優ユ・アイン”を目立たせる。
「みにくいアヒル」のユ・アインは子役出身である。去る2003年ドラマ「四捨五入(パンオリム)」で女優Araのボーイフレンドとして初めて演技活動をスタート。その後、テレビドラマと映画を行き来して、多数の作品でフィルモグラフィーを積み上げた。デビュー当時、17歳に過ぎなかったユ・アインは俳優として活動を続け、いつのまにか20代の「青春スター」になった。


デビュー12年目で20代後半のユ・アインから、もう「四捨五入」の純真で心の優しい17歳の高校生の姿を見つけるのは難しい。その代わりに反抗児のイメージは強まり、フィルタリングのない言動、枠にはまらない自由な性格、そして何よりも内面から湧き出る堂々たる自信の青年ユ・アインに成長したのだ。
彼の素顔は、SNSを介してファンと疎通するコメントでも見られる。彼は自分のSNSを通じて一日に何回もエピソードから、政治、芸術、演技など、様々なテーマでファンと話し合う。短い文章で配信される彼の思考は、同じ年のほかの俳優たちよりはるかに率直で直接的だ。自分の意見にしっかりとした所信を持っていることが分かる。
彼はネット民との論争もあえて避けない。過去、自分の演技について「乏しい」というコメントを書いた記者に対し、SNSを介して反論しながら本人の出演作を自信を持ってお勧めすることもあった。少し荒れっぽい対応だが、生きている魚のようにぴんぴんと跳ね上がるユ・アイン特有の率直さは、彼の演技ともたくさん似ている。
ユ・アインはこれまで、ドラマでは「結婚できない男」「成均館スキャンダル」「ファッション王」「チャン・オクチョン、愛に生きる」、映画では「俺たちに明日はない」「ワンドゥギ」「カンチョル」などを通じてさまざまな姿を見せてくれた。特に特有の表情演技と反抗児のイメージは個性が強い。彼もこれを変えるつもりは今後もないようだ。だから映画「ベテラン」のチョ・テオを演じたのは最高の選択とも言える。
初めて引き受けた悪役、初めて演じた財閥3世だが、今になってユ・アインはついに自分に合う服を見つけた気分だ。「ベテラン」でチョ・テオを演技した彼は、先輩で共演者の大物俳優ファン・ジョンミンよりキラキラと輝いたという評価を受けた。財閥3世であるチョ・テオをそのまま自分の中に入れ、「ユ・アインのチョ・テオ」で作り上げた。これによって「子役出身」というレッテルを外し、堂々と大人の演技者らしい面貌を大衆に刻印させた。


ユ・アインはこれまで磨き上げた自分だけの反抗的イメージを混ぜ合わせ、人生の目的を失い、すべてのものに憤る「狂気」のチョ・テオを表現した。多少やり過ぎに見えがちな表情演技やジェスチャーも彼だけがやりこなせる演技として好評につながった。
俳優たちの間では「悪役は下手をすると、イメージダウンになる」という認識が広まっている。しかし、ユ・アインは自分ならではの芝居を最も劇的に表現し、堂々と興行俳優として浮上した。ユ・アインが「ベテラン」の公開を控えて行ったインタビューで、筆者の私に渡した最後の言葉を今もはっきり覚えている。
「人々が僕を悪童と読んでるらしいですね?それなら、僕は一生悪童でありたいです」
THE FACT|ソン・ジヨン記者

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