【コラム】「ソウルドラマアワード2015」、受賞者の顔ぶれは…
THE FACT JAPAN / 2015年9月13日 12時8分
今年10周年を迎えた「ソウルドラマアワード2015」授賞式が9月10日、ソウルの上岩文化広場にて開催された。司会は俳優のイ・ドンウク、女優のキム・ジョンウンが務めた。
「ソウルドラマアワード」は、市民とスターが一つになり、全世界のテレビドラマで共に楽しむ祝祭の場であり、全世界ドラマ業界の関係を増進させ和合の場にしようという趣旨で行われている。今年は、世界48カ国から212作品が集まり、そのうちドラマ作品賞は短編、ミニシリーズ、長編など三部門で各8本、ドラマ製作者と俳優25人がノミネートされた。各部門別に最も優れた作品に最優秀賞が授与され、ノミネート24作品のうち作品性、大衆性、創造性においてもっとも優れた作品に大賞が授与されるという授賞式だ。
結果、大賞はドイツのドラマ『Naked Among Wolves』が受賞したが、残念ながらまったく知らないドラマだし、申し訳ないがここではおいておこう。興味があったのは、もちろん韓国ドラマや俳優陣の受賞の行方だ。そこで、話をそこに絞ってご報告しよう。
そのほかのジャンルの最優秀作品賞、男優賞、女優賞がすべて海外作品・海外俳優だったなか、唯一ミニシリーズで最優秀作品賞に輝いたのが『未生~ミセン~』だった。『未生~ミセン~』は放送当時からその視点、描き方、主演のイム・シワンら俳優陣の好演が光り、高い評価を得ており、百想芸術大賞でも主要部門を受賞した作品ではあるが、地上波でなくケーブル局の作品でもあり、受賞は目を引いた。
そして、韓国ドラマ限定となる韓流ドラマ部門では最優秀作品賞に『キルミー、ヒールミー』が輝き、韓流ドラマ女優演技賞もファン・ジョンウムが受賞した。『キルミー、ヒールミー』はチソンが7人の人格を見事に演じ分け、コミカルとシリアルを行き来しながら、二度目の共演のファン・ジョンウムとの自然な呼吸で好評を博した作品。同時期に似たテーマで作られたドラマをぶっちぎり、深い印象を残した。チソンは韓国俳優で唯一ノミネートされながらも受賞を逃したが、作品賞受賞にはナットクの作品だ。
そのほか、韓流ドラマ優秀作品賞は『朝鮮ガンマン』と『ピノキオ』が受賞し、韓流ドラマ男優演技賞はイ・ジュンギが受賞した。これらの受賞は、作品のクオリティというよりも“韓流スター”に大きく依存した作品&受賞といえる。イ・ジュンギは、確かな演技力で魅せる俳優だが、なにしろ中国圏での人気と知名度が非常に高い。『ピノキオ』のイ・ジョンソク&パク・シネも、国内人気も非常に高いが、中国圏での人気が高い。これが受賞の決め手になったことは想像に難くない。彼らには華があり、その存在だけで視聴者が付いてくるという実績がある。作品があれば、間違いなくここにイ・ミンホが入っただろう。そんな彼を無冠にできなかったからではなかろうが、韓流功労大賞、そして中国のファン投票による人気賞を受賞して、ファンは溜飲を下げた。
韓流功労大賞は、あの『宮廷女官 チャングムの誓い』のイ・ヨンエが受賞。イ・ヨンエといえば、『チャングム』を最後にドラマ出演はなし。もう10年以上もお目にかかっていない女優だ。その彼女が、久々にレッドカーペットに登場。授賞式で変わらぬ美ぼうを披露した。韓流の元祖功労者であることは間違いない彼女だが、久しぶりに『師任堂、the Herstory』でドラマ復帰するため、その存在感を再アピールする狙いの登場だったのだろうが、それは見事成功したようだ。
「ソウルドラマアワード」は、“全世界のテレビドラマで共に楽しむ祝祭の場であり、全世界ドラマ業界の関係を増進させ和合の場にしようという趣旨”のイベントであり、正直、賞としての価値が高いものではない。そうは言っても、自分のお気に入りが受賞するのかしないのかは気になるところ。そして、個人的には満足感を持って『未生~ミセン~』をまた見たいと思った。
THE FACT JAPAN|野﨑友子
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